5月1日(木) 晴

営業終了後、茅場町から九段下まで歩く。途中、大手町の将門塚で参拝。堀端に歩き毎日新聞社の角を曲がると、清水門が開いていたので、中に入る。土と石でできた階段を登って、降りる。清水門を出て、震災以来、休館している九段会館の前を通り、スターバックス九段下店にて休憩。アイスティーのトールとシュガードーナツを求める。連休中なので席に余裕がある。九段会館はこのまま取り壊されるのだろうか。


5月5日(月) 曇

午前、某書店で文庫の棚を物色していたら、「プー」と音がした。これはおならではないかと思って隣を振り向いたら、あろうことか、また「プー」と鳴った。しかもその人はまったく動じない。私はすぐに退散。昼食を前にしてじつに残念なことになってしまった。午後、そのことをご来店のお客さんに話すと、書店に入るとおならが出やすくなる説があると教えてもらう。


5月7日(水) 晴

お昼。銀座の竹葉亭にて、造形作家の白洲千代子さんと来年の展覧会の打ち合わせ。食事をしながら相談しようと思っていたが、順番を待つお客さんの行列が視界に入ってきたので、早めに甘味処の銀座立田野に移動。立田野のビルは土浦亀城の設計だが、いまはもう内装も外装も竣工時と違っている。名物のあんみつをいただく。銀座一丁目の鈴木ビルの前を通過しつつ、歩いて茅場町の店舗へ戻る。


5月9日(金) 晴

営業終了後、コピーライターの渡邉潤平さんの事務所を訪ねて、渋谷の金王神社前へ。事務所の本棚をまじまじと眺めていると、渡邉さんが「こんなの興味ありませんか」と冊子を取り出してくれた。見れば、亀倉雄策の五輪のポスターが表紙になった英文のパンフレット。初見でした。このようなものはいったい、どれほど制作されたのだろう。すぐに価格交渉に入るが、渡邉さんは温和な口調で「まだ売りたくありません」。一本取られました。


5月10日(土) 晴

2020年の東京オリンピックの開会式は、誰が演出を担当することになるのだろうか、どういうことをやるのだろうか、という話をお客さんとする。じつは私は、この件に関してすでに妄想している。それは、75年ぶりに東京の空にB-29の編隊を飛ばすという案である。B-29は新しい国立競技場の上空で焼夷弾の代わりに花吹雪を投下する。後ろから零戦が飛んできて、手を取り合うように旋回したりもする。日本とアメリカは戦争を乗り越え、いま平和なったことをアピールする。そのお客さんは「パンクですね」と言った。


5月13日(火) 曇

朝、8時56分発の山形新幹線に乗るため東京駅へ。東北芸術工科大学の新入生全員が聴講する「芸術平和学」に登壇させていただくことになった。日本の対外宣伝誌について自分なりの見解を話す役割。午後の最初の授業なので、新幹線に乗り遅れることは絶対に許されない。余裕を持って自宅を出る。しかし、あろうことか神楽坂駅に着いたところで地震が発生。車内にいると分かりにくいが、どうも大きいらしい。しばらく運転を見合わせるという。これは、かなり、まずい。タクシーに切り替えようかと思ったが、つかまらない可能性も高い。電車が動きはじめたのは、8時40分頃。8時50分頃に大手町に到着。駆け足で東京駅の新幹線ホームへ向かう。ホームへの階段を登っていることろで発車のベルが鳴る。ドアが閉まるのとどちらが早いか、というタイミングで、間に合う。危なかった。大宮駅で東北芸術工科大学の坂東慶一先生が乗車。講義の進行を打ち合わせながら山形に向かう。午後、無事に2コマの講義を行う。今晩は東北芸術工科大学の宿舎に宿泊。


5月14日(水) 晴

午前、東北芸術工科大学の学食でジュースを飲んでいると、前方から見覚えのある方が歩いてきた。同大学の宮本武典先生である。宮本先生は、今年10月に開催される山形ビエンナーレのキュレーターを務めていらっしゃる。facebookでつながっているが、お会いするのはいつぶりだろう。「宮本先生、どうもお久しぶりです。森岡書店の森岡です」と挨拶をする。ところが宮本先生は「はじめてお会いします」という。いやそんななずはない、数年前に確実に会った記憶がある……。しかし宮本先生は茅場町の店舗にも来たことがないという。どうやら幻だったようだ。


5月15日(木) 晴

午後、坂東先生が受け持っているデザインの講義で、木村伊兵衛の写真と写真集について話をさせていただく。これで東北芸術工科大学での私の役割は終了。先生方にお礼をして、大学前の停留所からバスに乗って仙台へ。一時間ほどで到着。仙台メディアテークで震災時の状況を写した写真の展示を見たあとに、ブック・カフェ「火星の庭」に向かう。店主の前野久美子さんから、食事をするなら牛タンよりも、仙台駅構内にある北辰鮨にかぎるというアドバイスを聞いて、北辰鮨へ向かう。立ち食いで5貫。はやぶさに乗って東京に戻る。19時に田町駅で、古賀稔章さんと氏原茂将さんと待ち合わせて、慶応義塾大学の上崎千さんの研究室へ。月末に行うイベントの打ち合わせを行う。上崎さんから、木村荘八『銀座界隈』の付録としてつくらた「銀座八丁」を見せてもらう。


5月18日(日) 晴

午前、娘とともに駒場公園へ行く。広場でシャボン玉をしたり、前田侯爵邸を見学したり。近所のパン屋にてランチをとって、新宿の映画館へ。ポップコーンを食べながら映画を見る。娘は喜んで見ていたようだが、私は途中で寝てしまう。


5月21日(水) 曇

午前、店内でイギリスの眼鏡ブランドのOliver Goldsmithの撮影を行う。長寿庵でお蕎麦をいただく。店舗に戻り月末の支払いの計算をする。


5月22日(木) 曇

朝起きると、3歳の次女が、至近距離でテレビを見ていた。「目が悪くなるから離れて見なさい」と注意。すると娘はこちらを振り返り、小声でこう言った。「ばかやろう」。


5月25日(日) 晴

お昼、青山のDEE'S HALLで開催されている前川秀樹さんの展覧会に行く。そのあとに渋谷駅まで歩き、井の頭線に乗って駒場の東大へ。構内で、古賀稔章さん、氏原茂将さん、橋詰宗さん、上崎千さんと合流し、日本記号学学会に参加させていただく。「ハイブリッド・リーディング」というテーマの下、杉浦康平さんやベルナール・スティグレール(現代思想家)らの講演が組まれていた。私たちはその最後に、読者という立場から、本で読んだこと、読んで考えたことを意見交換しつつ、会場全体で「読み」について考えを深めていけるような企画を行う。緊張をほぐすため、会場の周りを散歩していると、グランドで東大対防衛大のラグビーの試合をしていたので、しばし観戦する。


5月30日(金) 晴

明治古典会に出品がてら、地下で開催されている和洋会をのぞく。『アサヒグラフ』の古い号がまとまって入っているダンボール箱が出ている。こういう場合、なかに対外宣伝誌が紛れてる可能性がなくもないが、やはりこのダンボール箱にはなかった。同じような状況で、以前、Paginaの桑野さんが『TRAVEL IN JAPAN』を掘り出していた。古書会館を後にして、竹橋まで歩いて、そこから東西線に乗車。日本橋で下車してメゾンカイザーでサンドウィッチと水を求める。


5月31日(土) 晴

今日は朝から暑い。ラリー・クラークの写真がプリントされたTシャツを着る。午後、三ノ輪にあたらしくオープンしたundoへ向かう。デザイナーの小熊千佳子さんとフォトグラファーの一之瀬ちひろさんが運営するリトルブックレーベル「PRELIBRI」の写真展のトークイベントに参加させていただく。トーク終了後、もっと二人の話を引き出せる余地があったことを深く反省する。


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森岡督行 yoshiyuki morioka

「森岡書店」主人。1974年山形県生れ。著書に『BOOKS ON JAPAN 1931-1972 日本の対外宣伝グラフ誌』(ビー・エヌ・エヌ新社)、『写真集 誰かに贈りたくなる108冊』(平凡社)、『荒野の古本屋』(晶文社)、『東京旧市街地を歩く』(エクスナレッジ)など。「青花の会」編集委員。
facebook:yoshiyuki.morioka.7


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