9月2日(火) 晴

営業終了後、遠山正道さんのイベントへ参加するため、青山のtakram design engineeringのオフィスへ。開始時間より早く到着。会場に入るなり、同社の渡邉康太郎さんが、遠山さんを紹介してくださる。新しいビジネスのアイディアを出し合う会という内容だったが、会場にはいくつかのテーブルがあり、まず同席した者同士が互いのアイディアを披露し、より良いものをテーブルを代表して提案するという流れ。斜陽産業化している分野にこそ改善の余地があるということを遠山さんはおっしゃった。まさに、本屋、出版業界のことではないかと密かに思う。幸運にも、テーブル内で自分の「アトム書房+1冊の本を売る本屋」が好評を得て、代表して企画をプレゼンすることになった。渡邊さんの進行で次々に様々なアイディアが述べられていく。自分の番が回ってきたのは一番最後。プレゼンを終えると、遠山さんは、開口一番「面白い」とおしゃってくださった。続いて「3坪でもできるか」と。私はむしろ狭いくらいのほうがちょうどいいと思っていたので、「はい」と返答。「スマイルズと一緒にやる理由は」と訊かれたので、「Soup Stock Tokyoのポイントカードがたまっています」と答える。イベント終了後、遠山さんに改めてご挨拶して、後日正式に事業計画書をお送りすることを伝える。遠山さんは「今日の資料に日付を入れておくように」と言った。


9月3日(水) 晴

午前10時、青山の某社にて商品開発の打ち合わせ。昨晩のtakram design engineeringのオフィスからそう遠くない。財布やバッグ、カバンなど、数ある革製品の中から自分が使ってみたいものをカスタマイズして販売するという企画。お財布と、ノートと、トラベルウォレットを選ばせていただく。今後2ヶ月かけて製品化していくことになった。


9月8日(月) 曇

午後、久々の古本屋回り。はじめは渋谷の東塔堂へ。写真集を数冊購入。渋谷駅へ向かい、副都心線に乗車。雑司が谷駅で下車し、明治通り沿いの古書往来座を覗く。宮沢賢治の詩集などを求める。その後、『BRUTUS』の酒特集に出ていた大塚にあるバーに向かう。お目当てはマデイラ・ワイン。1600年代のものから揃っているというので敷居をまたいでみたくなった。メニューには年代物のマデイラ・ワインがズラリ。しかも、1杯、数万円。これはさすがに手が出ない。1928年産のワインもあり、価格は1杯6000円。6000円はふつうに考えると高いが、1928年は茅場町のビルが建った年。 ご縁を感じずにはいられない。別のところで何かを削ればいいだろう、という気持ちになるから恐ろしい。帰りは大塚から高田馬場駅まで歩く。遠山さんに提出する事業計画を考えつつ。


9月11日(木) 曇

私の自宅は、阿佐ヶ谷と高円寺のあいだ、やや阿佐ヶ谷よりにあり、もっぱら利用するのは阿佐ヶ谷駅だが、時間があるときは高円寺駅を使うこともある。今日は営業終了後に特に何も予定がなかったので、高円寺駅で降りることに。もしかしたら名曲喫茶の「ネルケン」はまだ開いているのではないかと思って行ってみたら開いていたので、赤いビロードの椅子に腰をおろして珈琲を注文。500円。珈琲を飲みながら遠山さんに提出する事業計画書を考える。その後にヴィレッジヴァンガード高円寺店に立ち寄って帰宅する。


9月14日(日) 晴

夕方、国立市・谷保にあるcircle gallery & booksへ。開催中の江本典隆写真展「りくのなか」で、写真家の江本さんとトークショウをさせていただく。 作品は、江本さんの奥様の実家、岩手県の宮古周辺で撮影されたもの。柳田國男の『遠野物語』で知られる遠野市の隣村だけあり、集落のあちこちに神様が祀ってあったり、夜は狐や鹿、熊まで出る“人ならぬもの”の気配が感じられる写真。写真展や写真集を見て、それを言葉にする理由、見る行為と撮る行為の関係などについて話をする。


9月15日(月)曇

午前、万世橋へ。マーチエキュート神田万世橋1周年を記念したイベントに参加。今日は1日出張古書店。向田邦子さんの『霊長類ヒト科動物図鑑』を読みながら店番。五割一分Tokyoの三浦哲夫さんや、CMデレクターの鈴木則夫さんが覗きに来てくださる。夜、一人で打ち上げ。自宅近所のバルトにて唐揚げとヒューガルデン・ホワイトをいただく。『霊長類ヒト科動物図鑑』の続きを読みつつ。


9月17日(水) 曇

午前、遠山正道さんのメールアドレスあてに事業計画書を送信する。夕方、早速遠山さんから返信があるが、そこにはなんと、「ありがとうございます!  しかし、ファイルが開かない」。これは、スタートから幸先が悪いのではないか。そう思いながらファイルを再送する。


9月21日(日) 晴

午前、有楽町国際フォーラムで開催されている大江戸骨董市へ。ガラスの牛乳ビンが並んでいるのを見て、ビンが互いにぶつかる音を連想する。気泡の入ったガラスで1500円。その後、徒歩で茅場町へ。煉瓦亭にて昼食を食べようと思ったが、あいにくの定休日。代わりにエビカツサンドを求める。丸の内線の銀座駅にて『メトロミニッツ』9月号を入手。特集は「100年後まで残したい料理本」。


9月24日(水) 曇

午前、銀行にて今月の支払いを済ませる。午後、ドレスデンから帰国した彫刻家の中谷ミチコさんがご来店。12月に多摩美術大学で行われる講演の打ち合わせを簡単に行う。私が中谷さんの聞き役を務めることになった。中谷さんが繰り返し読んだ本は夏目漱石の『草枕』で、ドレスデンでは「麺つゆ」を飲みつつ、制作を行っていたときもあったという。作家には偏食の方も多く、何を食べて制作しているのかには興味がある。夜、来月20日に遠山さんと第1回目の打ち合わせを持つことが決まる。


9月25日(木) 曇

朝の山形新幹線で開催中の山形ビエンナーレへ向かう。山形駅から会場のひとつである文翔館までは徒歩10分。平澤まりこさんのイラストを用いた展示や、料理創作ユニットGomaの中村亮子さんが手掛けたインスタレーション、梅佳代さんの写真の展示などを見学する。荒井良二さんがデザインしたオリジナルのTシャツを求める。東北芸術工科大学の会場では「東北画」が展示されていて、そのひとつに、東北軍と東京軍の戦争を描いた作品があった。新宿の高層ビルなどが、東北軍の攻撃によってなぎ倒されているイメージには迫力がある。最終の新幹線に乗って帰宅。


9月27日(土) 曇

午後、20年前に住んでいた中野のアパートの大家さんがご来店。雑誌で小店のことを知ってくださったという。そのアパートの住民は仲が良く、中野界隈の建築探訪を行ったり、焼肉パーティー(このような言い方をするのだろうか)を催したりしていた。もうあれから20年経ったのかという話をしながら、近況を伺う。夜、ニュースで御嶽山が噴火し負傷者が出ていると報じる。


9月30日(火) 晴

夜、馬喰町の「フクモリ」にて「山形」について語るトークイベントに参加。イラストレーターの平澤まりこさんと、6次元のナカムラクニオさんが山形ビエンナーレについて解説し、自分は山形の観光名所について話をさせていただく。幻の巨大魚「タキタロウ」、日本最古の鳥居と伝えられる「元木の石鳥居」、黒川紀章の傑作「寒河江市役所」などをスライドで紹介する。


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森岡督行 yoshiyuki morioka

「森岡書店」主人。1974年山形県生れ。著書に『BOOKS ON JAPAN 1931-1972 日本の対外宣伝グラフ誌』(ビー・エヌ・エヌ新社)、『写真集 誰かに贈りたくなる108冊』(平凡社)、『荒野の古本屋』(晶文社)、『東京旧市街地を歩く』(エクスナレッジ)など。「青花の会」編集委員。
facebook:yoshiyuki.morioka.7


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