20180331

『工芸青花』9号をだしてからひと月がたちました。内容をほとんど案内していなかったので、これから章ごとにすこしずつ紹介してゆきます。
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第1章は「川瀬敏郎の花 Ikebana by Toshiro Kawase」。文章は哲学者の井上治さんにお願いしました。
〈「神」や「奇跡」といった言葉の価値が暴落する現代社会において、「奇」もまた安売りされて久しい。もはや「奇を衒う」という段階にさえない、奇というパターンの劣化コピーが「奇なるもの」として氾濫している。「変わったもの」ですらない、ジャンルとしての奇が存在しているのだ〉
〈奇の凡俗化の要因には、芸術および芸術家の大衆化とともに、先述の画家に代表されるようなある種の作品を「奇」としてきたことに起因する奇の定型化もあるだろう〉
〈川瀬敏郎は以前、奇なるものを蔵する者ほど奇なるものを必要としないという事を語っていた。逆に言うと、凡なるものほど奇を纏おうとするのである〉
〈さしたる中身もない個の表現、そうでなければ図示された型の模倣という、陳腐さの両極端の花が多い今日の花道界において、川瀬敏郎の花はそれ自体が自然へ開けているという意味において、常に奇の花である〉
本来的な「奇」とはなにか、についても書かれています。
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以下の書店、ギャラリー等でおもとめいただけます。
http://www.kogei-seika.jp/about/booksellers.html
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ウェブサイトからも御購入できます(目次も以下に)。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=220





20180330

「修道院の工芸:インドの刺繍とレース」展、はじまりました(神楽坂一水寮。4月15日まで。木金土日13−19時)。インドの女子修道院で手縫いされたハンカチ、敷物、テーブルクロスなど。建物も春です。
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20180301.html











20180329

明日(30日)夜は河島思朗さんの講座「ギリシア・ローマ神話32|カドモスの子孫とテーバイの物語」です(於神楽坂一水寮)。よろしければぜひ。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=219
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河島さんは古代ローマの文芸文化が御専門で、この3月もローマに滞在していました(うち3日間、青花の取材に同行していただきました)。写真はパンテオンの裏側。
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次回4月19日の講座「ペルセウスの系譜」も募集をはじめています。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=223





20180327

鳥古繰子さんのブログ「毛糸的世界」更新しました。今回も引続き「ニッターズ・レビュー」(以下)の主宰者クララ・パークスとの会話です。
http://www.knittersreview.com/
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〈何百もの糸をレビューしてきた「編み糸のプロ」は、一つひとつ手に取り、観察し、手触りを楽しんで、それから鼻に近づけて匂いをかいでみる。加工の少ないウールには羊のラノリンオイルの香りがあるので、毛糸好きなニッターは、ウールでなくてもついこれをやってしまうことがある。その自然なしぐさから、「私たちは仲間だ」とわかる〉
http://www.kogei-seika.jp/blog/tricoquelicot/022.html





20180326

今週木曜(29日)からはじまる「修道院の工芸:インドの刺繍とレース」展のサイトに、監修者・金沢百枝さんの文章を掲載しました。〈18世紀以降、伝道のためインドへわたった修道女たちは、修道院の経営のため、そして市井の女性のたつきにもなるようにと、ヨーロッパの刺繍技法をつたえました。(略)インドで暮していた子どものころ、もっていたハンカチはどれも修道女の刺繍入りでした。今回展示するのは、1990年代から2000年代初めに母があつめたものです〉
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20180301.html











20180323

今日は終日、来週木曜(3月29日)からの「修道院の工芸:インドの刺繍とレース」展の準備でした(於神楽坂一水寮。4月15日まで。木金土日13−19時)。常設展の予定でしたが、急遽変更しました。監修はサンプラー展につづき美術史家の金沢百枝さん。インドの女子修道院でつくられた手縫いのナプキンやテーブルクロスなど100枚ほどを展示販売します。
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20180301.html











20180322

4月・5月の催事のお知らせです(会員以外の方もお申込みいただけます)。5月からは自由学園明日館で「古楽」の講座もはじまります(演奏とお話)。緑にかこまれた場所で、「鳥の声」のようなリコーダーの音色をおたのしみください。
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■講座|古美術入門9|木村宗慎+加島林衛|日本美術の保存と継承
□4月15日(日)15時@加島美術(京橋)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=221
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■講座|河島思朗|ギリシア・ローマ神話33|ペルセウスの系譜
□4月19日(木)19時@一水寮悠庵(神楽坂)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=223
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■講座|高木崇雄|工芸入門3|道元と民芸
□4月22日(日)15時@一水寮悠庵(神楽坂)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=224
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■講座|金沢百枝|キリスト教美術をたのしむ35|聖人伝2|新約聖書の聖人
□4月26日(木)18時半@自由学園明日館ホール(目白)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=225
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■講座|大竹尚之|古楽入門|全3回
1|5月29日(火)18時半@自由学園明日館ホール(目白)
2|6月26日(火)18時半@同
3|7月24日(火)18時半@同
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=222
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3−4月の展示は常設展です。1970年代のインドの手刺繍と手編みレース、前回好評だったサンプラーのいくつかも展示します。
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■展覧会|常設展:インドの刺繍布ほか
□3月29−31日・4月1日+4月5−8日+12−15日@工芸青花(神楽坂)
http://www.kogei-seika.jp/gallery/
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以下も引続き募集しております。
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■講座|河島思朗|ギリシア・ローマ神話32|カドモスの子孫とテーバイの物語
□3月30日(火)19時@一水寮悠庵(神楽坂)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=219





20180319

高木崇雄さんのブログ「工芸入門」更新しました。今回は高木さんの祖父母の里、高知の物部村の話です。
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〈この地に生きていれば自ずから抱かざるを得ない、絶えず変化する自然への畏怖心が、人々の心のうちに「内なる他者」を生みだし、さらには外部から持ち込まれた様々な信仰の形を借り、ひとつの形としてあらわれたものが人形や御幣であり、祭文であり……〉〈もちろん、単にテキストや祭祀の形式をなぞったところで、その土地に住まないものによる呪詛など、効くはずもない。いくらテキストが整理され、神楽や音楽が記録されたとしても、祀るもの自身の内側に畏怖を含まない祭祀/呪詛は、けっきょく保存芸能になり、鑑賞の対象となってしまう〉
……
語られているのは「宗教と工芸」の話ですが、〈その土地に住まないものによる呪詛など、効くはずもない〉との一文がさすがです(示唆的です)。はげしく変化する時代/環境のなかで(たとえば「土地」的なものをうしなったあと)、〈自身の内側に畏怖〉をもちつづけることは(可能だとしても)どのように可能なのか。ブリキ絵にしても沖縄も、高木さんが語る工芸の多くが「土地」(産地というよりも)につよく根ざしたものであることの理由の一端を知った気がする回でした(「生活工芸」に違和感をいだく理由も)。
http://kogei-seika.jp/blog/takaki/014.html
……
高木さんの講座「工芸入門」、次回は4月22日(日)15時から、テーマは「道元と民芸」です(於神楽坂一水寮)。そちらへもぜひ。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=224





20180318

撮影のあと、松屋銀座のデザインギャラリーで、三谷龍二さん監修「弱さの工芸」展をみました(19日まで)。ほとんどのものが小さくて、その確たるひそかさに、(かつて三谷さんが「生活」という視点で語っていた)漱石の小説を思いだしました。モノ(色・かたち)の縮減が「らしさ」の無化だけでなく、叙情性を現代的に(慎重に)再帰させるこころみでもあるように思えて、その横断的自由と果敢さがよかったです。
http://designcommittee.jp/2018/02/20180220.html





20180317

森岡督行さんのブログ「森岡書店日記」更新しました。今回は今年1月の日記。〈午後、谷川俊太郎さんのトークイベントを開催する。前半は『えじえじえじじえ』によせた言葉について質問し、「地球上に人間が生まれるまでは、世界に「名前」というものがなかったわけだから。意味的な日常に、ときどき風穴をあけたくなるんですね」という回答をいただく〉
http://kogei-seika.jp/blog/morioka/029.html





20180314

昨日は終日ナポリでした。写真は博物館のポンペイ画。イタリアはそろそろ春です。今日から金沢百枝さんは青花の会のツアー「南イタリア・ロマネスクの旅」へ。みなさん、よい旅になりますように。私はローマ→パリ→東京。明日は『工芸青花』次号の撮影。滞ってしまった事々、すすめます。
http://www.kogei-seika.jp/news/tour2018





20180313

昨日までオルビエト。雨でした。







20180309

「サンプラー:少女の刺繍布」展、のこり3日になりました(11日まで。於神楽坂一水寮。13−19時)。オランダのダーニング・サンプラーが多いのですが、ほかの国の布も展示(販売)しています。写真はイギリスとアメリカ、1785−1810年。1点目はクエーカー教徒のダーニング。
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20180201.html













20180307

鳥古繰子さんのブログ「毛糸的世界」更新しました。今回はアメリカ・メイン州へ「ニッターズ・レビュー」のクララ・パークスをたずねたときの話です。
……
〈このサイトの最大の財産は、編み糸のレビューの膨大なアーカイヴにある。隔週発行のニュースレターで、クララはさまざまな編み糸を取りあげてきた。それは糸の表面的な紹介にとどまらず、糸の来歴から、編むときの滑り具合、編み地の状態、水通し後の状態をレポートし、さらにそれを持ち歩いて自然に毛羽ができる状態に近づけて観察する。そのうえで改めて、その糸がどのようなものを編むのに適しているか分析して提案するという徹底的なものだ〉
http://www.kogei-seika.jp/blog/tricoquelicot/021.html





20180307

5日から取材で南仏にきています。マルセイユ、アビニョン、ローマ、オルビエト、ナポリ。写真はアビニョン、法王庁の裏道。やきものをめぐる手さぐりの旅です。





20180303

「サンプラー:少女の刺繡布」展、開催中です(於神楽坂一水寮/3月11日まで/木金土日13−19時)。美術史家の金沢百枝さん監修で、ダーニング・サンプラー(繕いの練習で、刺繍で生地の織目を模したもの)がまとめてみられる機会は、じつは稀です(販売もしています)。写真はすべてオランダ、1735−1800年。
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20180201.html











20180303

新刊『工芸青花』9号の販売店一覧、更新しました。各地の書店やギャラリーなど、37ヶ所に置いていただいています。毎号「世界の布」と題して、誌面に小裂を貼っています(今回は日本の古い蚊帳地)。
http://www.kogei-seika.jp/about/booksellers.html




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