20180531

今日から常設展です(5月31日−6月3日+6月14−17日/13−19時/神楽坂一水寮)。
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20180501.html











20180530

珈琲美美の森光宗男さんと大坊珈琲店の大坊勝次さんの数度におよぶながい対談をおさめた本『珈琲屋』(新潮社)ができあがり、明日発売です。今日は会社に大坊さんがいらしてくださり、ひたすらサイン入れの作業中。その姿は、いまはなき大坊珈琲でネルドリップでコーヒーをいれる姿をほうふつとさせるもので、思わず見入ってしまいました。いまはなき森光さんの印によりそうように署名する大坊さん、ほんとうにありがとうございました。私は対談に立ちあっただけですが、おふたりの言葉からも多くのものをうけとりました。
http://www.shinchosha.co.jp/sp/book/351891/







20180526

松本の六九クラフトストリートに参加しています。今年の場所はラシェネガ(mmとなり)。ヨーロッパのサンプラーやインドの刺繍とレースなど展示販売しています。今日は18時、明日日曜は17時まで。お待ちしております。
http://69-matsumoto.jp/information.html





20180522

『工芸青花』9号の紹介をつづけます。第6章は「西洋工芸の道 村田コレクション Crafts in Europe / Murata Collection」。
……
かつて埼玉県春日部市の駅前に「生活工芸資料館」がありました(1972-87年)。村田新蔵(1930-2008)があつめた4000点にもおよぶ西洋工芸、西洋家具を展示する場所です。記事はコレクションの一端を紹介するもので、木工家の三谷龍二さんに「生活と工芸」と題した一文をよせていただきました。三谷さんの工芸観/時代観がよくわかる、読みごたえある文章でした。
……
〈(自然に)負け続けた日本人は、普段の暮らしにおいても、工芸のようなものであっても、その内側に大きく自然が位置を占め、横たわっているのだと思います〉
〈長い時間人と暮らしを共にし、そのことによって素材は自然に同化し、人為と自然の境がないまでになっている。だから西洋のものでありながらも、どこかに沈黙する自然を抱えているのだと思います〉
〈大正後半から昭和にかけては、江戸時代からの暮らしが失われていくことに、1970年代前半は、戦前から続く暮らしが失われていくことに危機を感じた、それが生活意識の高まりに繋がったのだと思います〉
〈時代の流れは重厚長大から軽薄短小へ。強く重いテーマは、軽やかで脱イデオロギー的なものへと変わっていったのです。そうした中、人とは違う新しいものという重圧から解放され「普通でいいんだ」と、ようやく僕たちは肩の力を抜くことができたのでした〉
……
『工芸青花』は以下の書店、ギャラリー等でおもとめいただけます。
http://www.kogei-seika.jp/about/booksellers.html
ウェブサイトからも御購入できます。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=220
……
今週末は松本で、三谷さんが主宰する「六九クラフトストリート」に参加します。25日(金)には三谷さんほか9人と工芸トークもおこないます。参加者募集中ですので、よろしければぜひおはこびください。
http://www.mina-perhonen.jp/metsa/EV/1136/





20180520

間があいてしまいましたが、最新号の『工芸青花』9号を紹介しています。第4章は「ウィンザーチェア The Windsor Chair」。以下は記事のリードです。
……
 昨年夏に長野県信濃美術館で、秋に日本民藝館で「ウィンザーチェアー日本人が愛した英国の椅子」展がひらかれました。18、19世紀のウィンザーが50脚以上ならび、ウィンザー以外の椅子やテーブルも40点ほど展示されました。みな国内の所蔵品です。
〈識者の多くは、この椅子をたくさん持つ国は英国、アメリカに次いで日本だと推定しています。近年まで椅子文化すらなく、高度経済成長期でも庶民は畳に卓袱台の生活を普通に送っていました。そのような国になぜ多数のウィンザーチェアが存在するのでしょうか〉(月森俊文)
〈日本独特の美意識が反映したものの展示が多いように思えた。特に18世紀頃のシンプルでちょっとプリミティブな系統の椅子が多く選ばれているところにも、それはよく表れているようだ。このタイプの椅子は 装飾が最小限だが、この時代の椅子が皆その様にシンプルであったわけではなく……〉(室田宏一)
 同展図録では、ウィンザーチェアを〈座面の板材に背棒と脚を差し込んで、すべて木で作られた椅子〉と定義しています。日本においてウィンザーは家具というより工芸、骨董であったこと、そしてそれがどのように特殊な受容であったかを、立場のことなるふたりの解説で知ることができました。S
……
月森さんは日本民藝館員、室田さんはレストアラー。室田さんは6月におこなう「青花の会|骨董祭」の出展者でもあります(スワロウデイルアンティークス)。ウィンザーチェアもならぶそうです。ほかにもウィンザーの出品はあり、「ウィンザーチェア=民藝・骨董」という評価がいまもうけつがれていることがわかります。室田さんはレストアラーとして、どんなに古いウィンザーでも「ちゃんとつかえる(ようにする=なおす)」ことが大事と考えているそうです。
……
『工芸青花』は以下の書店、ギャラリー等でおもとめいただけます。
http://www.kogei-seika.jp/about/booksellers.html
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ウェブサイトからも御購入できます。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=220





20180519

6月2日(土)15時から、高木崇雄さんの講座「工芸入門|メキシコ壁画運動と民藝」です(神楽坂一水寮)。高木さんは仕入の旅で何度もメキシコをおとずれています。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=232
……
〈メキシコ壁画運動とは、1920年代から30年代のメキシコにおいて、ディエゴ・リベラ、シケイロスといった画家により行われた絵画運動です。革命のプロパガンダとして用いられた彼らの壁画ですが、その成立状況や伝播のあり方、表現の核となった思想において、「民藝」と共通するものがあります。今回はメキシコ壁画運動に関わった人々、そして「民藝」の視点から語りたいと思います〉
……
写真はメキシコ自治大学のシケイロスの壁画。岡本太郎ほか現代画家とのかかわりはよくききますが、民藝と、という視点がたのしみです。たしかに、民藝も「運動」でした。





20180518

雑誌『AERA』最新号で「サンプラー:少女の刺繍布」展、「修道院の工芸:インドの刺繍とレース」展(ともに@工芸青花)を紹介していただきました。両展監修者の金沢百枝さんの談話も掲載されています。ありがとうございました。
https://dot.asahi.com/aera/2018051700071.html?page=1
5月31日から常設展、6月9-10日は「骨董と私」展です(骨董祭2018内)。
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20180501.html





20180513

今年も5月末は松本で「六九クラフトストリート」に参加します(25-27日)。
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参加ギャラリーは、Roundabout/OUTBOUND、森岡書店、gallery yamahon、さる山、工芸青花、minä perhonen 松本店、10cm
......
25日(金)11時からは以下の連続トークもあります(要予約)。
......
1)三谷龍二 + 小林和人 + 竹俣勇壱(2)小林和人 + 小西亜希子 + 森岡督行(3)森岡督行 + 井出幸亮+ 猿山修(4)猿山修 + 山本忠臣 + 皆川明(5)山本忠臣 + 皆川明 + 三谷龍二 + 井出幸亮
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今年のテーマは「日用美品」。それにちなんだ展示もあります。写真はチラシ(部分)で、サイトヲヒデユキさんのデザイン。チラシでこんなふうにできるんだと思いました。今年のテーマにつうじますね。
http://69-matsumoto.jp/information.html





20180512

「読んでます」といわれることが多くなりました。高木崇雄さんのブログ「工芸入門」更新しました。今回は『モンゴ』という本の話です。
http://kogei-seika.jp/blog/takaki/016.html
……
〈「モンゴ Mongo」とは1970年代に生まれた俗語で、「捨てられているがまだ使えるもの」を意味するそうですが、この本は、ニューヨークで日々生み出されるモンゴと、(略)モンゴを拾い集めることを生活の一部にしている人々を取り上げたルポルタージュです〉
〈その背後にある理由としては、簡単に言ってしまえば「もったいない」という気持ちでしょうし、大きく言うと資本主義社会が必然的に生み出す「過剰」そのものへの怒り、ということでしょう〉
〈社会のあり方について批判する、といった「正しい」態度を続けるとうっかり陥りがちな、「正しいことを言っている自分への愛」から遠く離れているのも面白い。自分たちもまた資本主義社会の寄生虫なのだ、と率直に認める客観的な諧謔と深刻ぶらない態度を保ちつつ、パンを割き、食べものを分かち合う彼らの平明な結びつきは、とても自然なふるまいだと思えてくるのです〉





20180511

5月29日(火)から、リコーダー奏者にして古楽研究者、大竹尚之さんの「演奏+講座」の会をおこないます(全3回/自由学園明日館ホール)。古楽とは「演奏の伝統がとだえた音楽」であり、ロマン派の音楽が内向的/個人主義的なのにたいして、外向的/環境音楽的なものといいます。参加者募集中です。「鳥の声のような」リコーダーの音色をぜひおたのしみください。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=222
……
〈リコーダーに携わる者にとって、楽器名の由来となった RECORDER(鳥のように歌う)という動詞にまつわる曲の世界は故郷とも呼べるものだろう。18世紀初頭にロンドンで出版された "The Bird Fancyer's Delight"(小鳥愛好家の楽しみ)はリコーダー、フラジョレットを吹いて鳥に鳴き方を教えるための特異な曲集である。対象となっている小鳥は外来種も含めて11種あり、(略)ウソのため11曲、カナリア9曲、ムネアカヒワ6曲……〉(大竹尚之「『小鳥愛好家の楽しみ』への新しい視点」より)





20180510

日野明子さん監修「産地とはなにか」展、今日から最終週です(13日/日曜まで/13-19時/於神楽坂一水寮)。日野さんも連日在廊してくださっています。写真は小西幸夫さん(1933年生れ)の木工(富山)。以下は日野さんの解説の一部です。
……
〈小西さんは、15歳から家業のろくろ仕事についたため、手が早く、木を見る目は自ずと育っていく。若い時分、大量の受け仕事をこなしたことで、スピードを身につけ、一流の工芸家からの木地の発注をうけ、元来のセンスに磨きをかけたようです。85歳の今も、作品に限らず、人に頼まれれば、漆の木地、神社の修復のためにパーツ作りなどもこなします〉
……
70年。このふっくらとしたかたちは産地の庄川でも小西さんならではとのことで、さる高名な漆工家の木地も小西さんだったときいて、合点がゆきました。
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20180401.html





20180509

今日まで北海道でした。この土地の歴史と生活を個人の視点で語ってくださったみなさんに感謝します。深いお話ばかりでした。青花11号の取材です。帰京して10号の編集作業にもどります。





20180508

新たな催事のお知らせです。
……
■講座|高木崇雄|工芸入門4|メキシコ壁画運動と民藝
□6月2日(土)15時@一水寮悠庵(神楽坂)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=232
……
■催事|骨董祭2018
□6月8−10日(金土日)@神楽坂6会場
http://www.kogei-seika.jp/seikafes/2018.html
……
■講座|大竹尚之|古楽入門2
□6月26日(火)18時半@自由学園明日館ホール(目白)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=222
……
■講座|金沢百枝|キリスト教美術をたのしむ37|聖人伝4|殉教聖人1
□6月28日(木)18時半@自由学園明日館ホール(目白)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=223
……
■展覧会|骨董の起源
□6月28−30日・7月1日+5−8日+12−15日@工芸青花(神楽坂)
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20180601.html
……
■講座|工芸と私21|松本武明+岩橋直哉+牛抱幾久真|骨董の起源
□6月28日(金)19時@一水寮悠庵(神楽坂)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=224
……
■講座|中村好文+増田奏|住宅設計入門|全5回
1|7月26日(木)18時@自由学園明日館(目白)
2|8月18日(土)*課外授業(住宅見学会)
3|9月13日(木)18時@自由学園明日館(目白)
4|10月18日(木)18時@同
5|11月22日(木)18時@同
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=231
……
……
以下も引続き開催、募集しています。
……
■展覧会|産地とはなにか
□5月10−13日@工芸青花(神楽坂)
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20180401.html
……
■講座|工芸と私20|藤田康城|モノを読むひとー古道具坂田と「骨董」概念の変容
□5月10日(木)19時@一水寮悠庵(神楽坂)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=227
……
■講座|河島思朗|ギリシア・ローマ神話34|ペルセウスの冒険
□5月17日(木)19時@一水寮悠庵(神楽坂)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=228
……
■演奏+講座|大竹尚之|古楽入門|全3回
1|5月29日(火)18時半@自由学園明日館ホール(目白)
2|6月26日(火)18時半@同
3|7月24日(火)18時半@同
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=222
……
■講座|金沢百枝|キリスト教美術をたのしむ36|聖人伝3|聖フランチェスコ
□5月31日(木)18時半@自由学園明日館ホール(目白)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=229





20180506

今週木曜(10日)夜は藤田康城さんの講座「モノを読むひとー古道具坂田と『骨董』概念の変容」です(於神楽坂)。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=227
……
藤田さんは舞台演出家でシアター・カンパニーARICA主宰。『工芸青花』の次号(10号)で藤田さんの骨董論を掲載するので、昨年から何度も会っていろいろな話(とはいえ坂田さんの話が多かった気がします)をしてきました。以下は藤田さんから。
……
〈1994年に初めて古道具坂田に出かけました。その年に、美術館 as it is が開館し、続いて訪れました。単なるディスプレイとは違う、モノと空間の関係に目を開かれました。例えば、現代美術の分野では1960年代末から、日本の「もの派」やイタリアの「アルテ・ポーヴェラ」など、モノが空間に配置された〈状況〉を重視する作家たちがいます。もちろん、それらの作品と坂田さんの取り組みは違います。坂田さんが、モノと空間の関係について、美術作家のような意識で〈表現〉をしているわけではないでしょう。しかし、1990年代の半ばくらいから、観客や買手である私たちに、あるいは道具商の側にも、モノそのもの美や価値だけでなく、それが置かれた空間・状況全体を意識するような感性が成熟しつつあったのだと思います。そんな中、坂田チルドレン、坂田フォロアーと、ひとくくりには出来ない個性的な道具商が現れます。それらを代表する道具商「さる山」「タミゼ」「アンタイディー」は、坂田さんとは違う、それぞれのモノや空間に対してのアプローチをしています。私が経験的に知る、「骨董」に対して新しい見方を提示してきた人々と、坂田さんの仕事について、それと共振していると思われる現代芸術にも触れつつ、お話します〉





20180505

日野明子さん監修「産地とはなにか」展、開催中です(於神楽坂一水寮。13日まで。木金土日13−19時)。写真は熊本の宮﨑珠太郎さん(1932年生れ)の籠。以下は会場でおくばりしている冊子から、日野さんの文章の一部です。
……
〈竹編みの基本は限られており、人との差別化が難しいものだが、宮﨑さんは常に、人と違うものを作り、人にも「新しいことに挑戦しろ」と、ハッパをかける。どの業界でも、「売れるものをマネる」人はいるが、宮﨑さんの名品「ねじり編盛籠」は、だれも真似していない。この「ねじり編盛籠」は、「国際巡回見本市船 さくら丸」(船内に物産を並べ、世界を巡回する見本市のための船)に乗せるために、作って欲しい、つまり、外国人が欲しがるようなものを、というリクエストに応えたもの〉
……
宮﨑さんの竹籠はほかに麻の葉盛籠やパン籠もあります。今回はじめて手にしたとき、「え?」と思いました。籠なのに、堅牢という語が思いうかぶほどのたのもしさがあります。
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20180401.html





20180503

日野明子さん監修「産地とはなにか」展、今日から再開しました(神楽坂一水寮。13日まで。木金土日13−19時)。晴れました。「産地」展ですが、80歳代4人の(日野さんがいまみてほしいと考えた)仕事が主の展示です。
……
宮﨑珠太郎/竹工芸/熊本
清水義博/農民美術/長野
小西幸夫/庄川挽物木地/富山
奥田将高/丸直製陶所/岐阜
……
産地的(地域的+歴史的+複数的)個と、非産地的(現代的)個と、工芸という地域的+歴史的+複数的なものの現代性について考えさせられる展示ですが、それもあくまでも見方のひとつ。日野さんがえらんだ仕事/作物をぜひ御高覧ください。
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20180401.html





20180501

「青花の会|骨董祭2018」のウェブサイト公開しました。日程、地図等のほか、今年の出展者を会場別に記載していますので、ぜひ御覧いただけましたら。
http://www.kogei-seika.jp/seikafes/2018.html
……
先週土曜は日野明子さんの講座「産地のいまとこれから」でした。現代的課題をてらしだす内容で、考えたことについてはまたあらためてふれたいと思いますが、なかで、メイカー、工場のロゴタイプの大切さ、という話がありました(しかしその考えが普及した結果、いまや「デザイン的洗練=凡庸」化しているとも)。
……
青花の骨董祭のロゴ、というか「骨董祭」の書き文字は、古美術商のIさんに書いていただいたものです。彼女の店をおとずれると、いつも、(おそらく)路傍の草花がさりげなく、ひっそりといけられています。骨董、古美術の話は「美」と「金」(「美」か「金」)につきる感があり、その両者をあわせて語りうるところがすぐれて人間的で、(編集者としても)魅力的なのですが、しかしそこに、Iさんが草花にそそぐような視線(情)が発生/介在していなければ、それは骨董でなくてもよいし、いいかえれば、それがあるからこそ骨董なのだという思いから、骨董祭をはじめるとき、Iさんにお願いしたような気がします。




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