20190127

熊本取材でした。現代美術館の「バブルラップ──「もの派」があって、その後のアートムーブメントはいきなり「スーパーフラット」になっちゃうのだが、その間、つまりバブルの頃って、まだネーミングされてなくて、其処を「バブルラップ」って呼称するといろいろしっくりくると思います。特に陶芸の世界も合体するとわかりやすいので、その辺を村上隆のコレクションを展示したりして考察します。」展(3月3日まで)再訪。
https://www.camk.jp/exhibition/bubblewrap/
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著名な現代美術家の作がきらぼしのごとくならぶ前半と、おびただしい数の現代(生活)陶芸の器が暗がりにひそむ後半、美術関係者の感想はその「切断」にとまどうむきが多いそうですが、当の村上さんは先日のトークでも昨日の取材でも、両者を通底するものの発見/名づけが今展の眼目と語っています。そしてその「通底するもの」のいわば最高純度の結晶が「古道具坂田」であり、だからこそ明暗(前後半)をとおりぬけた最後の部屋に店舗ごと(物だけでなく)再現した、ということなのだろうと思います(詳しくは初夏刊行予定の『工芸青花』12号で特集します)。
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写真4点目は熊本市内の橙書店。「『ことばの生まれる景色』 nakaban 原画展」もみました(2月3日まで)。『ことば……』は本屋「Title」辻山良雄さんの著書です。
http://www.zakkacafe-orange.com/
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青花でも2月末から nakaban 展「Annno Domini 2019 ロマネスクと私」をおこないます。
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20190201.html











20190124

来週木曜から「生活工芸の作家たち2:ふぞろい」展です(神楽坂一水寮/1月31日−2月10日/木金土日13−19時/1月31日−2月2日は展示のみ、販売なし/2月3日は青花会員と御同伴者のみ)。出品作家は安藤雅信さん(陶)、辻和美さん(ガラス)、三谷龍二さん(木工)。
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20190101.html
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三谷さんから、出品作(一部)の写真がとどきました。











20190122

来週木曜から「生活工芸の作家たち2:ふぞろい」展です(神楽坂一水寮/1月31日−2月10日/木金土日13−19時/1月31日−2月2日は展示のみ、販売なし/2月3日は青花会員と御同伴者のみ)。出品作家は安藤雅信さん(陶)、辻和美さん(ガラス)、三谷龍二さん(木工)です。
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20190101.html
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昨年は「1:ふつう」でした。おなじ3人の作家コメントや、私(菅野)もすこし文章を書いているので、よければ御覧ください。
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20180101.html
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昨夏、ある書店の催事で、ある本を推薦しました(塩野米松『失われた手仕事の思想』)。理由も附記しました。〈布、籠、炭、屋根、石垣──日本各地の職人仕事に取材した文章は読みごたえがあり、手仕事のゆたかさを思い知ります(単行本は2001年、文庫は08年刊)。しかしその多くが失われたいまは、慨歎、郷愁によらず、「ほんとうに必要なのか」というところから、手仕事なるものを考えたいと思いました〉。手仕事のゆたかさを思い知りつつ、それらがきえてゆくことの合理性(しかたなさ)もつくづく理解できる本でした。
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〈黒田(泰蔵)さんも生活工芸派の器にも、手仕事の結果としての「ゆらぎ」があり、それが現代の器作家がそうじてむきあわざるをえない工業製品の食器との差違であり価値になります(黒田−生活工芸の場合はかなり「ひかえめ」ですが)〉。先日書いた文章の一部です。生活工芸派の器の特色のひとつは「ゆらぎ/手仕事性」の最小化です(つまり手工芸的価値をみずから減じていることになります)。それはおそらく、現代日本における(ふだんづかいの)手工芸の不合理性を自覚していた彼らの「含羞」のスタイルであり(としてはじまり)、そうした決してわかりやすくはない繊細さを享受しうる人々(おもに女性)があらわれ、ひろがったのが、いわゆる「生活工芸の時代」(1990年代−2010年代)だったのだろうと思います。





20190118

吉祥寺「OUTBOUND」の「作用」展へ(第6回ということは6年目?)。「作用」とは店主の小林和人さんが概念化したもので、いわく〈さまざまな存在、現象、および環境による、情緒的な反応を引き起こす働き〉であり、26人の工芸家たちによる展示作品に実用的な道具はなく、〈本展に於いて「標具」と呼ぶ抽象的な造形物〉がならんでいます(21日まで)。
http://outbound.to/news/
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選択、陳列による小林さんの「作用論」であるとともに、(おそらく回をかさねたことによる)作家たちの「作用論」という面もあり、両者がひびきあう展示はみごたえがありました。ゴールが美術館やコレクションルームではなく、あくまでも(基本的には)市井の生活空間(道具のとなり)を志向するものであることから、これらはアートや美術工芸のような「せまいもの」ではなく、たとえば「置物」というおおらかな(工芸的/道具的)語がふさわしいのでは、と、小林さんに打診してみたのですが、今日もにこにこと、とりあってもらえないようでした。





20190116

来週水曜(23日)夜は美術史家・金沢百枝さんの講座「ロマネスクへの旅|イギリス篇」です(自由学園明日館@目白)。
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〈2007年に『芸術新潮』誌で「イギリス古寺巡礼」特集をつくりました(編集は現『工芸青花』の菅野康晴さんでした)。そのときの取材から12年、あれから本や青花の取材でヨーロッパ各地を旅しましたが、あらためて、イギリスのロマネスクはちょっとかわってるな、と思います〉(金沢さんから)
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12年のあいだに、ノルウェー、イタリア、スペイン、フランス、スイスをまわりました。あのとき気づかなかったイギリス・ロマネスクの特色をきけるのがたのしみです。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=261











20190113

高木崇雄さんのブログ「工芸入門」更新しました。今回はメキシコでヤクルトをのむ話です。ヤクルトの容器は剣持勇のデザインです。
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〈デザインと工芸を結びつける、という試みは各地で行われていますが、往々にして産地にすでに名のある他分野のデザイナーを連れて行き、地域で伝統的とされる模様を投影した日用品を作り、人目に付く場所や媒体で発表する、といったことで終わってしまう。それは記号と記号を組み合わせているに過ぎない〉
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数日まえ、「工芸には批評らしい批評がない(研究、紹介、宣伝はあるけれど)」という話を何人かでしていました。私は、高木さんの「工芸入門」は、(批評とはなにかはひとまずおくとして)この時代に稀な批評的文章だと思っています。
https://www.kogei-seika.jp/blog/takaki/024.html
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写真はメキシコのブリキ絵です(1843年。高木さんといえばブリキ絵です)。ある建築事務所の旅行についていったとき、メキシコシティの骨董屋で買いました。ときどき青花の展示室にかけています。





20190111

かつて45Rのデザイナーの井上保美さんのお話をうかがったとき、印象的だった言葉があります。〈Tシャツとデニムをかっこよく着たい、というのが、いまもかわらない考えです。Tシャツもファイブポケットのジーンズも、世界中の人が着ていて、かたちもほぼおなじで、普遍的な服の姿と思うから〉(『工芸青花』7号)。つまりかたちの「こたえ」はもうでている。あとは糸・染・織に工夫をこらして(ふつうではない熱意をそそいで)、機能と作用(心理的作用)をかねそなえた、「ふつう」で「かっこいい/心地よい/ふつうではない」Tシャツとジーンズをつくりつづける。
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生活工芸派の器もおなじだと思いました。つかいやすい器のかたちの「こたえ」は(さすがに)もうでている。いさぎよくそれをみとめて、そこからはじめる彼らがめざしているのは、(生活工芸派的)建築家・中村好文さんの言葉(信条)を借りれば「enkel」です(スウェーデン語。「ふつうで、ちょうどいい」の意)。今月末からはじまる「生活工芸」展では、その「ちょうどいい」とはなにかを考えたいと思っています。
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■展覧会|生活工芸の作家たち2:ふぞろい
□1月31日−2月3日+7−10日@工芸青花(神楽坂)
□出品|安藤雅信(陶)+辻和美(ガラス)+三谷龍二(木工)
*1月31日−2月2日は展示のみ(販売なし)。2月3日は青花会員と御同伴者のみ
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20190101.html





20190109

工藝風向の高木さんと静岡へ。昨日は望月通陽さん、今日は芹沢銈介美術館で取材。望月さんは太い柱のような人。含羞とともに筋をとおしてきた作家の厚みある言葉。芹沢美術館は板倉を改装した簡素な自邸(移築)にいつもみとれます。
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芹沢美術館では「芹沢銈介の収集−世界の仮面と衣装」展開催中(3月24日まで)。
https://www.seribi.jp/index.html
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1月12日から26日まで京橋のギャラリー椿で「望月通陽−TAROT」展開催。
http://www.gallery-tsubaki.net/2019/Michiaki_Mochizuki/info.htm





20190107

あらたな催事のお知らせです。未公開だった1月末の安藤雅信さんの茶会・講座と、2月の催事、3月の金沢百枝さんのイギリス・ツアーの詳細など。
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■茶話会|安藤雅信|淹茶+糧菓:発酵茶会B
□1月31日(木)13時半@一水寮悠庵(神楽坂)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=264
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■講座|工芸と私28|安藤雅信|「生活工芸」と私
□1月31日(木)19時半@一水寮悠庵(神楽坂)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=262
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■講座|金沢百枝|キリスト教美術をたのしむ44|ロマネスクの宇宙4|ゾディアック叢書
□2月28日(木)18時半@自由学園明日館ホール(目白)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=266
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■展覧会|Anno Domini 2019 ロマネスクと私
□2月28日−3月3日+7−10日+14−17日@工芸青花(神楽坂)
□出品|nakaban
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20190201.html
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■旅行|美術史家・金沢百枝さんとゆくイギリス・ロマネスクの旅
□3月12−18日
https://www.kogei-seika.jp/news/tour2019.html





20190105

年末年始は神楽坂にほぼ日参。たずねてくれる人が何組もいておどろいた(案内できずすみません)。冬の緑はたのもしい。もっとおおわれたらバラガン邸の窓のようになるだろうか。今週10日(木)、神楽坂一水寮で講座です。よろしくお願いします。
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■河島思朗|ギリシア・ローマ神話38|ヘラクレス|12の難行その1
□1月10日(木)18時半@一水寮悠庵(神楽坂)
「獰猛な野獣や怪物に挑むヘラクレス。悲劇に見舞われながらも難行に立ち向かい、克服していく英雄の神話を読み解きます」
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=260





20190103

1月の催事です。
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■講座|河島思朗|ギリシア・ローマ神話38|ヘラクレス|12の難行その1
□1月10日(木)18時半@一水寮悠庵(神楽坂)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=260
……
■講座|金沢百枝|ロマネスクへの旅|イギリス篇
□1月23日(水)18時半@自由学園明日館ホール(目白)
*3月のツアーの説明会もかねています
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=261
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■展覧会|生活工芸の作家たち2:ふぞろい
□1月31日−2月3日+7−10日@工芸青花(神楽坂)
*1月31日−2月2日は展示のみ(販売なし)。2月3日は青花会員と御同伴者のみ
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20190101.html
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写真は『芸術新潮』2007年イギリス・ロマネスク特集より「けん玉ドラゴン(金沢さん命名)」と「蜘蛛の巣掃除」。なつかしい。すぐれた歴史家ふたり(金沢百枝さんと小澤実さん)にみちびかれつつロマネスクの記事をつくりつづけています。ローカルなもの(西欧中世キリスト教美術)をべつのローカルな(たとえば古道具坂田的)観点でみつづける。そこで気づく(気づこうとしている)のは人間がつくるものはグラデーション的で、おなじではないがばらばらでもないこと。古道具的(古美術的=分断的=民藝的ではない)考えかた。as it is 的世界。







20190101

あけましておめでとうございます。やりたいことははっきりとあるので、今年はすこしでも(ほそくても)ながくつづけられるように、会員、関係者のみなさんの力をお借りしつつ、経営的なことにもつとめたいと思います。よろしくお願いします。編集部の仕事始は7日(月)です。写真はイタリア、ヴィテルボの陶器博より(『工芸青花』次号11号の編集作業中)。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=4




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