豊永さんは沖縄在住の張り子作家です。琉球張り子の伝統にそくした仕事とともに、あらゆる矩(のり)をかるくこえてゆく作品群、その豊永印に魅了される人が多くいます。 今回御紹介するのは「旧約聖書」を主題とする作品です。アダムとエバ、ノア、ヤコブ、アブラハム……。美術史家の金沢百枝さんを導き手に、旧約を読みこんだ豊永さんが咲かせる、人類草創の物語の花々。 張り子だけではなく、木漆工とけしさんと制作した漆器、石川昌浩さんのガラスにエナメル彩色した器、メキシコのブリキ絵にヒントを得た平面作品など、さまざま御紹介します。


制作|豊永盛人
2021年 張り子、ガラス器、漆器、モビール、ブリキ絵など
協力|金沢百枝

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https://shop.kogei-seika.jp/products/list.php?category_id=31



沖縄旧約聖書   豊永盛人


金沢百枝さんに紹介して頂いた中世の絵やロマネスクの彫刻はとても胸をときめかせてくれるものがいっぱいで、自分の力だけではどう調べても見つからないような面白いものばかりで、見ていてとても元気になります。キリスト教徒でもユダヤ教徒でもイスラム教徒でもない僕がにわかに勉強して作った物なので、何の信仰の対象にもならないし、ご利益もきっとないですが、旧約聖書の内容をほとんど初めて知って、びっくりしたり笑ったりドン引きしたり感動したりした僕自身の発見が詰まったものになりました。楽しんでいただけたら幸いです。

豊永盛人 Morito Toyonaga
1976年生れ。沖縄出身、沖縄在住。沖縄県立芸術大学を卒業後、張り子の郷土玩具を作り始める。2002年郷土玩具店「玩具ロードワークス」を開く。郷土玩具を中心とした個展を開催したり物産展等に参加している。
https://toy-roadworks.com







豊永さんの作品   金沢百枝


豊永盛人さんのつくるものにはふしぎな魅力があります。沖縄の伝統的な張り子の作家ですが、その懐はひろい。その発想の柔軟さはどこからきているのだろうと考えるとき、工房をたずねたときにみせていただいた、豊永さんが美大の彫刻科時代につくったという、夜中にあるきだしそうな大作と、子どもさんたちのためにつくったおもちゃを思いだします。鋭い造形感覚と、尽きない遊び心。今回、私の講座「キリスト教美術をたのしむ|旧約篇」とのコラボが決ってから、LINEグループをつくりました。そこにしばしば豊永さんから、ふしぎなメッセージが届きます。「ヤコブとエサウはどうやって仲なおりしたの? 絵はない?」など、物語を読みこんでいないと出てこない質問ばかりでした。

金沢百枝 Momo Kanazawa
美術史家。多摩美術大学美術学部芸術学科教授。西洋中世美術、主にロマネスク美術を研究。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。理学博士・学術博士。2011年、島田謹二記念学藝賞。2016年、サントリー学芸賞。著書に『ロマネスク美術革命』(新潮社)、『ロマネスクの宇宙 ジローナの《天地創造の刺繍布》を読む』(東京大学出版会)、共著に『イタリア古寺巡礼』シリーズ(新潮社)。
twitter@momokanazawa






人形劇「旧約ものがたり」



豊永盛人さん、自作自演の人形劇。主題は「アブラハムの饗宴」です。

*人形劇後の金沢百枝さんの解説及び豊永さんとの対話を収録した動画を配信しています。

通信講座|豊永盛人+金沢百枝| 人形劇「旧約ものがたり」
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