

春、夏、冬に展示替をおこなう坂田室、今年の夏期展の主題は「布」です。坂田さんと最後につくろうとしていた本は「布の本」でした。主著『ひとりよがりのものさし』も「布」からはじまります。布には「かたち」がありません。そこに、坂田さんはなにをみていたのでしょうか。「古道具坂田」由来の染織品約70点を展観します。

会期|A|2026年7月24日(金)-7月25日(土)
2026年9月23日(水)-9月24日(木)
B|2026年7月26日(日)-8月7日(金)
2026年9月25日(金)-10月7日(水)
C|2026年8月15・16・22・23・29・30日
2026年9月5・6・12・13・19・20日
2026年10月17・18・24・25・31日
2026年11月1・7・8日
休廊|7月31日/9月30日
時間|12-18時
会場|坂田室
東京都新宿区矢来町71 新潮社 soko 3F(神楽坂)
入場|1000円
協力|有限会社坂田 美術館 as it is 安東敬三 安藤雅信 稲垣陽一 馬越可津子 尾久彰三 小松義宜 多治見武昭 土田眞紀
*入場予約は以下より(前日までに御予約済の御来場者には絵葉書を進呈)
A|青花会員のみ/予約優先+定員制
B|予約優先+定員制
C|予約不要+定員制
講座|古道具坂田と私9|金沢百枝|ロマネスクと布
日時|7月27日(月)18時半-20時
会場|青花室
東京都新宿区矢来町71 新潮社倉庫 soko3F(神楽坂)
坂田和實 SAKATA Kazumi
骨董商。1945年生(福岡県)−2022年歿(東京都)。上智大学卒業後、商社勤務を経て、1973年、東京・目白に「古道具坂田」開店。以来、年に数回、海外へ仕入の旅に出かけ、欧州、アフリカ、朝鮮、日本、南米など、さまざまな国の品物を扱う。1994年、千葉県長南町に「美術館 as it is」(中村好文設計)を開館。2012年、渋谷区立松濤美術館で「古道具、その行き先−坂田和實の40年」展を開催。著書に『ひとりよがりのものさし』『古道具もの語り』、共著に『骨董の眼利きがえらぶ ふだんづかいの器』『日本民藝館へいこう』など(いずれも新潮社刊)。
今展によせて 月森俊文(坂田室)
生涯にわたって数多くの「布」を取り扱った坂田和實。それは自店において、「エジプト・コプト裂展」(1990年9月)、「日本の野良着・仕事着展」(1992年5月)、「マダガスカルの木彫とピグミー族のタパ展」(1996年2月)といった布に関わる企画展を定期的に催したことでも、また美術館as it is所蔵の染織品が、陶磁器や木工品などより抜きん出て多いことからも伺える。
では具体的にどのような布を坂田は評価したのだろうか。2000年に彼が執筆した「ペルーの大布」は、その一例を示していて興味深い。〈ペルーの大布は、いつか「四枚の布展」をやろうと、ずいぶん前から持ち続けていたもの。ちなみに四枚とは、古代、中世を代表してエジプトのコプト裂とペルーの布、日本代表は戦国時代の旗指物、それに近世アフリカのラフィアヤシの布。しかしこの企画は何年たっても実現しなかった〉(『ひとりよがりのものさし』所収)。世界の染織から上記4枚を見据えた慧眼は今日から見みても特筆すべきことだろう。もちろん開催していれば、独自の視点で選ばれた4種の優品たちが提示されたはずだ。
このような認知されている染織品からの選定とは別に、坂田は既成の価値観から外れた身近な布へも熱い眼差しをそそいでいく(晩年にはその視線が一段と研ぎ澄まされた)。『ひとりよがりのものさし』に載せた雑巾、「骨董誕生」「古道具、その行き先」両展に並べたコーヒー用ネル布や麻シャツ、『古道具もの語り』所載の肌襦袢の端切れとおしめ、as it isで陳列した繕いのある酒袋などが顕著なものだ。例えば、使われて藍が薄れた絞り染めのおしめは、私たちが骨董市などでしばしば眼にしながら通り過ぎた布だが、先入観を捨てて接すると、室町期の絞り裂や旗指物に伍しても引け目がないように見えてくる。肌襦袢や繕いのある襤褸は、作為の希薄さという点で現代の抽象画などよりいっそう美しく感じられるだろう。坂田の拾い上げた布は他の分野に比べ、より過激で強いメッセージ性を宿している。
今展では古今東西の染織品約70点を展示し、坂田が見届けた美しい「布」を改めて顕彰する。


2|坂田室外観
3|帽子 エチオピア 20世紀
4|刺子履物 昭和時代
5|アンデス絞布裂 ペルー 6-11世紀

