会期|2025年9月5・6・7日(金土日)
   *5日は青花会員のみ
時間|12-18時
会場|青花室
   東京都新宿区矢来町71 新潮社倉庫内(神楽坂)
監修|安東敬三(花元)
出品|うつわと古物 幹/花元/逆光/古美術うまのほね/古美術 錫/古物 豊島/志村道具店/髙谷/直感とテレパシー/トトトト/白鷺洞/南方美術店/吉川古道具/COUBOU/IMADO/LAPIN ART/objects







今展によせて   安東敬三


日本の骨董業界では、若手古美術商の台頭が目覚ましい。各地で開かれる小規模でオルタナティブな骨董市には、彼らが独自の感性で自由に選んだ物が並べられている。「新星」の出現は、蒐集家にとっても業界にとっても、大きな恵みだ。彼らより少しだけ長くこの道を歩んできた私にも大いなる刺激であり、身が引き締まるような緊張感をもたらしてくれる。
 経験の浅い古美術商の多くは、懐に余裕があるとは言いがたく、当然ながら在庫も少ない。だからこそ、物との一瞬一瞬の出会いを大切にし、たとえ古板1枚、陶片一つであっても、その真髄を見逃さず、真摯に向き合う。割引となったコンビニのおにぎりを頬張り、靴底をすり減らしながら、終わりなき骨董の荒野を走り続ける。〝襤褸は着てても心は錦!″と言わんばかりに。清々しく、溌溂として、楽しげに......。鋭い感覚を持ち、自らの商いを逞しく切り拓く彼らに尊敬の念を抱く。
 この仕事を始めて20年が経とうとしている今も、状況の改善を見ない己はいかがなものかと猛省するほかない。値や名に囚われることなく、物の本質的な魅力を見抜く力は、キャリアに胡坐をかいている古美術商にはもはや持ち合わせぬものだろう。そうした純粋な物選びの姿勢には、ただただ頭の下がる思いだ。
 今般、新潮社・青花の会が主催する骨董展「新星」では、まさにそんな若き古美術商たちの眼を通して選ばれた、魅力ある品々を紹介したい。彼らの選んだ物が蒐集家の心に刺さり、また蒐集家の情熱が彼らに伝わる場となれば、これに優る喜びはない。
 多くの皆様のご来場を心からお待ちしています。


安東敬三 ANDO Keizo
2007年、大分市に「花元」開店。2008年「花器展」開催、目白コレクショ ン出展(以降12年間出展)。2009年「日々の器展」開催。2011年「朝鮮工藝展」開催。2014年、第1回「未了會」出展(於Hidari Zingaro)。2016年「青花の会骨董祭」出展(以降10年間出展)。2017年「艸ノ会」出展(於草友舎)。2019年、第2回「未了會」出展(於Hidari Zingaro)。2021年、古美術展示即売会「あなぐり」出展(以降3年間出展/於BOOTLEG gallery)、「道具屋めいてい研究所」出展(於銀座ソニーパーク)。2024年「盆展」開催(於BOOTLEG gallery)。













上から
花元|ポシャギ 朝鮮時代末(20世紀初) 62.5×68.5cm
トトトト|三島壺 李朝時代初 高12cm
直感とテレパシー|貯金箱 アメリカ 19世紀末 高6.5cm
古美術うまのほね|青銅雄牛 イラン(アムラシュ) 前1000年頃 長5cm
逆光|ザリガニ図 1985年 44.8×57.0cm
objects|呉洲三色碗 河井寬次郎作 1960年頃 径14.8cm
志村道具店|イングリッシュデルフト藍絵面取水注 イギリス 18世紀 高11.5cm
うつわと古物 幹|鉄製八卦文八角形火入(香炉) 朝鮮時代後期 高4.7cm
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