
会期|2026年1月25日(日)-2月6日(金)
*1月25・26日は⻘花会員のみ
休廊|1月31日
時間|12-18時
会場|青花室
東京都新宿区矢来町71 新潮社倉庫内(神楽坂)
出品|安東敬三(花元)
対談|国東の石塔を巡って|小澤實+安東敬三
日時|1月25日(日)18時半-20時
会場|青花室

安東敬三 ANDO Keizo
骨董商。2007年、大分市に「花元」開店。2008年「花器展」開催、目白コレクション出展(以降12年間出展)。2009年「日々の器展」開催。2011年「朝鮮工藝展」開催。2014年、第1回「未了會」出展(於Hidari Zingaro)。2016年「青花の会骨董祭」出展(以降10年間出展)。2017年「艸ノ会」出展(於草友舎)。2019年、第2回「未了會」出展(於Hidari Zingaro)。2021年、古美術展示即売会「あなぐり」出展(以降3年間出展/於BOOTLEG gallery)、「道具屋めいてい研究所」出展(於銀座ソニーパーク)。2024年「盆展」開催(於BOOTLEG gallery)。

今展によせて 安東敬三
近くに七瀬川という清流が流れる地で生まれ育った私は、子供の頃の遊びといえばもっぱら川遊びでした。魚捕りはもちろんのこと、川でのもう一つの大きな楽しみは、笹の葉文様が石肌に浮かぶ「笹石」と呼ばれる滑石を拾い集めることでした。水に浸けると、黒褐色の石肌にうっすらと緑がかった笹の葉文様がきらめき、ほかの石とは明らかに一線を画す存在感を放っています。探せば毎回必ずいくつかは見つかる、その″ほど良い稀少性″もまた、子供の収集欲を掻き立てるのです。見つけた瞬間のあの満ち足りた気持ちを今でも忘れることができません。
振り返るとそれ以来、無意識のうちにずっと「石」を追い求めてきたように思います。海へ出かけても好みの石拾い、家を建てるとなれば古御影の縁石や敷石を探し求め、この仕事に就いてからは李朝の石工品、日本の石仏、石塔、勾玉など考古の世界にまで興味は広がっていきました。
ここまで人を惹きつける「石の魅力」とは何なのでしょうか。材質としての物理的な不変性、恒久性、堅牢さ、あるいは印象としての温もりや優しさ、柔らかさ……。どれも正しいようで、けれどもそれだけでは決して語り尽くせない。それどころか、言葉にしようとすれば、本質から遠ざかっていくような気さえするのです。そもそも、石の魅力を言葉で表すなど、語彙に乏しい私には到底できるはずもありません。
今回の展示会では、長い年月をかけて蒐めた様々な石のモノを並べます。ぜひ、実際にご覧いただき、皆様に「石の魅力」を肌で感じていただける場となれば何より幸いに存じます。
国東の石塔を巡って 小澤實(俳人)
梅雨の時期、国東を訪ねて、さまざまな石像美術を見て歩いた。国東愛のことさら深い古美術花元の安東さんの案内で、さまざまな石塔を訪ねられたことは、まことに幸運であった。梅雨のぬかるみのために訪れることがかなわなかった場所も残念ながら数ヶ所あったが、各所の石塔には苔がみずみずしく生えていて、この時期しか見ることのできないうつくしさを見せていた。中でももっとも感銘を受けたのは、始原の五輪塔である。五輪塔は、日本独自の石塔であるが、その原初のかたちのものを見ることができたことは、忘れることができない。国東に詳しい安東さんと石塔についてゆっくり語り合えることを楽しみにしている。




2|国東宝塔 鎌倉時代
3|阿弥陀三尊種子板碑 南北朝時代
4|石仏 南北朝時代
5|香炉 朝鮮時代後期
6|燈火器 オクサス文明 前2000年頃
7|象嵌容器 オクサス文明 前2500年−前1900年頃
撮影|安東敬三
