
飛鳥、白鳳、奈良時代の作を主に、寺院の屋根に葺かれていた古瓦百数十点による展観(販売有)。軒丸瓦の蓮華文様は時代や場所によりスタイルがことなり、型による量産品ながら手抜きなく、きよらかで、仏教美術──祈りの造形──の原点をみる思いがします。『工芸青花』20号特集「瓦」刊行記念展示。
会期|2025年7月25日(金)-8月6日(水)
*7月25・26日は青花会員のみ
休廊|7月31日
時間|12-18時
会場|青花室
東京都新宿区矢来町71 新潮社倉庫内(神楽坂)
出品|小松義宜(honogra)/田中恵子(古美術陣屋)
鼎談|小松義宜+高木孝+田中恵子|古瓦のたのしみ:仏教美術の原点
日時|7月28日(月)18時半-20時
会場|青花室
小松義宜 KOMATSU Yoshinari
骨董商。「honogra」店主。1974年生れ。28歳でゼネコンを退職、「夏日屋」として開業。2021年2月「honogra」開店。
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田中恵子 TANAKA Keiko
姫路生れ、神戸育ち、学生時代は京都。親が京都に引越したので、それからは京都が実家になりました。二足のわらじで骨董屋をしていた父が亡くなり、アルバイトで店員をしていた私が店を続けて、とりあえず他にすることがなかったので、今の場所、西荻の駅前に店を移して20年以上になります。続けていけるのかなと心配でしたが、なんとか続けています。
今展によせて 小松義宜+田中恵子
日本建築で瓦が葺かれはじめたのは、今から1400年ほど前のこと。板葺きや藁葺きしか知らなかった人々の目には、どのように映ったのだろうか。6世紀半ば、仏教伝来とともに百済から、瓦博士(瓦に限らず建設一般の技術者)たちが来訪し、法興寺(飛鳥寺)が建立された。瓦が整然と並んだ広い屋根。壮麗な伽藍に安置された、きらきらと輝く金色の仏。その厳かな雰囲気に、人々は圧倒されたに違いない。
瓦は仏殿を守る大切なもの。連弁文や唐草文などの美しい文様が施され、工芸的にも優れたものが生み出されていった。
創成期の瑞々しい、飛鳥・白鳳時代の瓦から、律令国家・奈良時代、そして平安時代へと、時代の移り変わりも感じられる展示をお楽しみください。
1・2|単弁八葉蓮華文軒丸瓦 山村廃寺出土 白鳳時代
3・4|単弁八葉蓮華文軒丸瓦 陸奥国分寺出土 奈良時代
5・6|素弁十葉蓮華文軒丸瓦 飛鳥時代
7|鴟尾 溝口廃寺出土 白鳳時代
8|奈良時代以前の古瓦が使われている奈良・元興寺禅室の屋根
*花は小松さん、田中さんによる