川越市の工芸ギャラリー「うつわノート」主人、松本武明さんによる展観です。松本さんは2000年代(「生活工芸」時代)のなかば、いまのSNS投稿(SNSによる展示紹介)の雛形ともいえるブログ「うつわノート」を書きはじめ、その後脱サラ、2011年にみずから工芸店をひらきます。以後は若手からベテランまで数多くの器作家の展示をおこなっていますが、たんに流行を追うのではなく、時代を読みとき語ろうとする気概を感じる、数少ない工芸ギャラリーのひとつです。「うつわ」(手工芸作家が生みだす生活道具)もまた時代の産物にほかならず、今展は、松本さんによる「時代論」でもあります。


会期|2024年3月29日(金)−4月2日(火)
   *3月29日は青花会員と御同伴者1名のみ
時間|13時−20時
会場|工芸青花
   東京都新宿区横寺町31 一水寮(神楽坂)
出品|松本武明(ギャラリーうつわノート)


講座|松本武明|時代の変化と「うつわ」の未来
日時|3月29日(金)18時−20時
会場|悠庵
   東京都新宿区横寺町31 一水寮(神楽坂)
https://store.kogei-seika.jp/products/lecture-kogei-74







松本武明 MATSUMOTO Takeaki
1961年山口県生れ。大学卒業後、電機メーカー宣伝部、通信会社でインターネット事業の会社員勤務。2005年よりブログ「うつわノート」を執筆。2011年に埼玉県川越市にギャラリーうつわノートを開設し、現在に至る。


今展によせて  松本武明


先日八代亜紀さんが亡くなったというニュースを聞いて、ネットで歌(舟唄)をあらためて聴いてみたのですが、昭和歌謡を代表する歌手ならではの唄心があり、とても心に沁みました(特に演歌好きではないのですが)。
 どのような分野でも似たような状況だと思いますが、かつてのような、時代を担う中心点は希薄になっているように思います。音楽は気軽に選べるサブスク時代ですし、うつわもSNSによって傾向は分散化し、ひと括りにできる流れが分かりづらくなっています。ネットの普及に伴い、誰もが簡単に情報を得られる反面、感動はスワイプするように短命化し、時間をかけて文化を醸成することは難しい時代なのでしょう。
 昭和歌謡のように、心に残る曲や詞を書けるプロがいて、それを表現できる歌手によってそれらが時代に刻まれたのだとしたら、例えばギャラリーも、作家のライナーノーツを書くように、言葉にして、じっくりと1枚のアルバムの魅力を伝えることも大切じゃないかと思うのです。時代遅れかもしれませんが、常々そんな感動をお伝えしたいと思っています。
 今回の企画展では、既にお付き合いのある作家さんとこれからの作家さんとを合わせて、令和時代の「うつわ心」をお聴き頂ければと思っております。
















上から
山本雅彦(奈良)作
森岡成好(和歌山)作
中田光(群馬)作
大平新五(滋賀)作
大桃沙織(新潟)作
稲吉オサム(愛知)作
日高伸治(岡山)作
森岡成好(和歌山)作
日高伸治(岡山)作
森岡成好(和歌山)作
撮影|松本武明(全て)
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