14 新羅小金銅仏(三国時代)




前回に引き続き、かわいい小金銅仏で、こちらは統一新羅時代より古い三国時代(6世紀)の作です。

朝鮮三国時代は、高句麗、百済、新羅の三国が朝鮮半島に王国を構えていた時代の呼び名で、最小であった新羅が、唐と同盟を結んだことにより、7世紀に入ると百済、高句麗を次々と滅ぼし、7世紀中頃には統一新羅王朝が誕生します。通常云われる「新羅仏」(小金銅仏)はこの統一新羅時代の作が多いのですが、それ以前の「三国仏」と呼ばれる古式の小金銅仏も、割合は少ないのですが日本にも多く残されています。

大きな特徴のひとつが、簡略化されてはいますが、背面も省略されずあることです。また短めな胴のかわいい体軀は、(統一新羅時代に入っても初期には残りますが)三国仏の特徴と云えます。また、三国時代以降ほとんど見られなくなる特徴として、片側の肩だけに衣をかける、仏教用語で云う「偏袒右肩(へんだんうけん)」があります(または左肩)。新羅時代の小金銅仏では、両肩を衣で被う「通肩(つうけん)」が通例となります。これらの特徴も、『韓国金銅仏研究』を日々眺めていた中で覚えたことです。

では、時代金銅仏の見極め方(真贋が分かるようになるシンプルな方法)の後篇、購入した図録『韓国金銅仏研究』の活用法です。方法は簡単です。この本に載る新羅仏の図版を毎日10分ほど、ペラペラと眺めていただければ、1年後にはまったく迷うことなく、ホンモノの金銅仏が分かる様になります。

その間、ネット等のグレーゾーンでの金銅仏との接触は極力避けてください。ひたすら、『韓国金銅仏研究』だけを眺めて過ごしてください。解説は、新羅仏に於ける様式の変化や、その時代背景等ですので、金銅仏のことや中国、韓国の歴史を知らなければまったく頭に入ってこないと思いますから、読まなくても何の問題もありません。ひたすら金銅仏のモノクロ図版だけを毎日見て過ごしてください。

「そんな簡単なことで……」と思うかも知れませんが、そんな簡単なことではありません。365日、家に居る日は何があっても必ずこの本を手に取って眺める、というのは、真贋の判断のつかぬ眼の方には、なかなかの苦行です。数週間ほどで習慣化し、眼が慣れてきたなら、ここからが大切です。図録に載る金銅仏から自分なりの発見をしてください。たとえば、顔や衣紋表現の類似性、初期と中後期に於ける像容の変化や、掲載されている仏像の種類等、何でも良いのです。共通点や相違点を、掲載されている金銅仏の中から探し出し、数日にひとつは「自分なりの発見」をしてください。例えば「如来の上げている手は左右どちらもあるけれど、◯手を上げているほうが多い」と気づいたなら大発見です。論文にもない、ご自身で気がついた発見です。ちなみに私は、どちらが多いか確かめたことがないので判りません。

何でも良いのです。金銅仏の図版を細部まで見て、「自分なりの発見」をひとつひとつ増やしてゆく。毎日十数分それを繰り返してもらえれば、1年と経たずに貴方の中に、新羅金銅仏の正確な実像が刻み込まれます。そうして真正(ホンモノ)に慣れた眼になれば、贋作(ニセモノ)に出会っても違和感しか感じなくなります。その感覚を信じて大丈夫です。苦行(?)に耐えて、それだけの訓練をしてきた眼なのですから……。

高価な図録を買ったことだけで満足していては、宝の持ち腐れです。徹底的に活用した時、初めてこの図録の価値(高価な所以)に気づかされるはずです。





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*この連載は、高木孝さん監修、青花の会が運営する骨董通販サイト「seikanet」の関連企画です
https://store.kogei-seika.jp/

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