
13 新羅小金銅仏(統一新羅時代)

荒れてはいますが、美しい輝きを保つ鍍金の残る小金銅仏で、新羅時代の如来像です。今月から2回に分けて、時代金銅仏の見極め方(真贋が分かるようになるシンプルな方法)を伝授させていただきます。では、早速。
希少で高価、かつ需要の多い時代小金銅仏は、骨董的価値も高いものです。それゆえ古くから贋作が大量に横行する分野です。生半可な知識では太刀打ちできぬ出来の良い(?)贋作も数多ありますので、手を出さぬほうが賢明なのですが、そうと分かっていても(そうと分かっているからこそ)尚、欲しくなるのが蒐集家の難儀な性ですね。
贋作への明快な対処方法は「真贋が分かってから買うこと」ですが、「骨董入門」ですので、分かるようになる方法を書かせてもらいます。結論から先に申し上げれば、金銅仏の真贋鑑定に「これ」と云える(書ける)秘訣は実のところ何ひとつありません。「ここが真贋鑑定のポイント」といった、ノウハウ本に載る程度の贋作金銅仏ははなから論外で、その程度の贋作なら、真贋に悩む以前に、このブログを熱心に読んでくださる皆さんなら、取捨選択のテーブルにすら載らないでしょう。
そうではない、真贋の間に漂う(何と表現したら良いのか……)判断の難しい金銅仏が、中国、韓国、日本を問わず大量にあります。それらのほとんどは(出来の良し悪しはありますが)やはり贋作なのですが、中にはホンモノも紛れ込んでいます。その「中には……」の世界で金銅仏を買おうとすると、贋作を摑んでしまう確率が高くなる訳です。
鍍金の枯れ(錆)具合、緑青の深さ、火中して荒れた肌、伝世の擦れた肌味……ピカピカからサビサビまで、金銅仏には全ての状態に贋作があります。貴方がホンモノではと判断するポイントを狙って贋作は作られていたりするのです。
再度書きます。金銅仏の真贋鑑定に「これ」と云えるポイントはひとつもありません。贋作への対処方法は明快で「分かってから買うこと」です。では、どうすれば分かるようになるのか……です。
本題です。真贋の判断について、ご自身の中に明確な確証(基準)をお持ちの方なら、どのような場で金銅仏を買っても良いでしょうが、まだ眼に自信のない(真贋の判断のつかない)うちは、際どい金銅仏の紛れ込む場(骨董グレーゾーン)では、金銅仏を絶対に買わない(探さない)ことです。
画像だけで判断を求められるネットでの購入は、もっとも危険と申し上げて良いでしょう。「分かるようになる」第一歩は、贋作の入り込む(真贋の判定がつかぬ)場での、曖昧な金銅仏との接触を避けることです。そのような場に留まり、怪しげな金銅仏をいくら多く見ていても、勉強には(金銅仏が分かるようには)なりません。見れば見るほど迷いが生まれ、判断基準は曖昧となり、ついには(真贋の)迷宮に入り込むだけです。
これは骨董全般に云えることですが、金銅仏も良いものを数多く見れば眼も育ち、贋作が現れても、自然と違和感を抱くようになれます。良い金銅仏だけを見られる(見せてくれる)場があるのか……ですね。あります。美術館や博物館、仏教美術を専門とされる著名な古美術商を訪ねなくとも、自宅で簡単に毎日「真作の金銅仏だけ」を見られます。
答えは本です。以下に紹介する数冊には、優れた金銅仏が網羅されています。
松原三郎著『韓国金銅仏研究』 吉川弘文館
和泉市久保惣記念美術館刊の3冊
『特別展示 中国古式金銅仏と中央・東南アジアの金銅仏』
『特別展示 六朝時代の金銅仏』
『特別展示 隋唐時代の金銅仏』
特に、昭和60年に発刊された『韓国金銅仏研究』は、新羅仏に関しては質量共にこれを超える一級資料はありませんし、今後も出版は望めぬでしょう。掲載されている金銅仏の全てが疑う余地のない真作です。今後、これ以外の新羅金銅仏図録は必要のないレベルに達している貴重な1冊です。「金銅仏(新羅仏)の真贋を極めたい」と思っている方は、ネット等を活用してこの『韓国金銅仏研究』を買ってください。古書店で通常10万円以上はします。
中国の金銅仏なら、上記の和泉市久保惣記念美術館発行の中国金銅仏図録3冊を探してください。こちらも評価、人気共に高い図録ですので、古書店サイトでも高価でしょう。 数万円もする本は高くて買えないと思う方は、まだ(ホンモノの)金銅仏を持つには早過ぎます。蒐集のための一級資料(本)に、それに相応しい対価を払うことは、優れた蒐集家となるためには必要な道程です。ここはひとつ奮発してください。ネットの「日本の古本屋」等で書名を検索すればヒットすると思います(注・ネットであまりに安価な価格が提示されている古書サイトは詐欺の可能性があります。本来安く買える本ではありませんので、どうかご注意ください)。
次回は、上記資料本の活用法です。簡単なことを実践していただければ、貴方も間違いなく金銅仏の眼利きになれます。

*この連載は、高木孝さん監修、青花の会が運営する骨董通販サイト「seikanet」の関連企画です
https://store.kogei-seika.jp/
