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今回は「ものが分るようになる(目利きになる)」について思うことを書かせてもらいます。古美術・骨董にかかわってきた時間が皆さんより少々長い、一先輩の弁としてご一読いただければ何よりです。

■先回の内容
目利きへの道(モノがワカルようになる)には、まずモノの名前を正確に覚える(言える)ことが第一のステップ。ここまでが先週のお話でした。「何で面倒な名前を覚えることがそんなに大事?」と思われた方や、前回の宿題をクリアー出来なかった方、この先の蒐集道(目利きへの道)は闇の中です。面倒でも、ここはひとつしっかりクリアーしてください。どうかお願いします。では、目利きへの道ステップ2へと進みます。

■ステップ2
先回の宿題をクリアーされた方、ちょっと自信が出てきたことと思います。そうです、あなたが好きで買われた「皿」は「ただの皿」ではなく「古瀬戸灰釉平皿(室町時代)」だったり「古伊万里染付芙蓉手五寸皿(江戸時代)」だったり「絵唐津草文小皿陶片(桃山時代)」だったり、ちゃんとした名前があったのです。同じ「伊万里皿」や「唐津皿」でも、器それぞれに名前があり個性があることに気づかれたことと思います。それがポイントです。

あなたが今まで買われた(蒐集された)品の名前に一番多く登場してきたジャンル(名称)は何でしたか? 「李朝古陶」「盃・徳利」それとも全部バラバラでしたか? 特定の名称が数多く登場した方は、ステップ2への移行が容易です。

全部バラバラの方や、名前の付けられない品の多かった方は、次へのステップが少々難題です。名前の付かない古美術骨董はありません。それは、ただのジャンクです。ここで挫折するとただのジャンクコレクターになってしまいます。近年、新感覚ともてはやされるジャンクコレクターですが、実はいつの時代にもそんな方はいました。ブームの頃はその手の雑誌に時々顔を出しますが、当然にすぐに消えてしまいました。何故なら骨董蒐集は新感覚でもジャンクでも無いからです。古美術骨董は時代の生んだ文化遺産です。目の前の品が生まれた時代の文化的な背景(名前)を持たないとしたら、それは古美術や骨董ではありません。それをいくら集めても骨董蒐集家にはなれない訳です。味良く錆びたブリキ板やペンキの剥がれた木箱等は私も大好きで、店では錆びた古バケツを使っています。でも、それらは古美術でも骨董でもありません。「錆びた古いバケツ」でしかないからです。古いバケツの時代(文化)背景として私が思い浮かぶのは、戦時中のバケツリレーくらいです。

話が逸れました。「名前」です。何となく好きで買った「皿」にちゃんと名前のあったことに気がつくと、「何かいいモノみたい……」と云った感慨と愛着が生まれてきたことと思います。

そうなんです。あなたが何となく買われた「皿」は、実はちゃんと正式な名前のある由緒正しい古美術品(いいモノ)だった訳です。それを「5千円だったし……」とぞんざいに使っていたでしょう? たいがいの品は数百年も前に作られた、現代とは違う時代(空気)の生んだ貴重な文化遺産なのです。5千円で買った皿がもし地上に1枚だけとなれば、重要文化財に指定されていた……かもです。せめてもうちょっと大事にし、活躍させてあげてください。ステップ2の前置きが長くなりました。項を改めます。

■本題
同じような品目が多くあった方は楽な工程です。そのジャンルの品について、もう一度骨董雑誌や図録、美術館、ネットで楽しみながら調べてみてください。

次にそこに載っている似たような「品」と、あなたが持っている「品」との優劣を比較してみてください。優劣と云うより好き嫌いで良いです。今お持ちの品より「こっちの方が好き(欲しい)」と云う品を探してみてください。そして名前もついでに覚えてください。数多く見つかってしまったら、その中からまた「こっちの方が好き……」を選んで数点に絞ってください。これでステップ2は終了です(簡単でしょ)。

でも「目利き道」はイバラの道です。次に厳しいステップ3が待ち受けています。ステップ3は、「選んだ品を探し出して買ってくる」です。まったく同じモノは無いでしょうが、それに匹敵するか、それ以上に好きになれると思う品を買うことです。きっと今の皿より高いですよ。もしかすると10倍以上はするかも……です。今から無駄使いは禁物です。節約してお小遣いを蓄えておくくらいの覚悟が必要です。「宝くじに当たったら……」と思われている方、「死んで保険金が入ったら……」と同じくらい虚しい発想です。コツコツ貯めてコツコツと探してください。「そう簡単に見つからない……」。努力が足りません。ここをクリアー出来れば目利きになれるのに……です。

もう、お判りになった鋭い方も居られるでしょう。そうなんです。古美術の蒐集(目利きへの道)はその繰り返しなのです。時には脇道に迷い込んだり、道草や寄り道もすると思います。でも、いつも自分の好きなモノ(理想の品)を探し求めて歩んでいくことが、目利きへの道なのだと私は思っています。数寄者(すきしゃ)とはその道をひたすら楽しみ歩く人たちの呼び名でしょう。

■最後に
バラバラだった方、お待たせしました。ここまで辛抱して読んでくださったバラバラ派の方、何とかしましょう。

まず集中です。古美術蒐集は所詮趣味で娯楽ですが、その気分の高揚感を持続させるためにもまず集中です。何に集中するか? ご自分の好みをひとつのジャンル(分野)に絞ります。酒器も茶器も外せないとか、仏教美術も李朝も古窯もすべてが命と云われる方もあるでしょう。無人島へひとつだけ持って行けるとしたら何を選びますか? もちろんあなたにとって「最高に理想の品」で結構です。どれか1点(1ジャンル)が浮かばれた方、前段の「本題」再読で卒業です。オツカレサマでした。

「とても選びきれない……」と思われた方、金銭をふくめ集中の大切さをご理解ください。目の前に現れてくる好みの品を何の脈絡もなくただ求めて歩いていても、実は同じ道を堂々巡りしていることが多いのです。やがて時が経ち空しさだけが残るような気がします。

あらゆるジャンルで「これは」と感じた品を何の知識の裏づけもなく、ただひたすらに購入されている方は、ある意味究極の数寄者なのですが、さらに深く蒐集の手応えと充実感を感じていただくには、ひと時でもひとつの場に立ち止まり、蒐集された(蒐集される)品々とじっくりと向き合ってみる時間が何よりも大切と思うのですが、如何でしょうか?

今回は、ここまでです。さて次回はいよいよ「価値のワカル目利きへの道」です。


上|中世国東五輪塔と小形一石五輪塔 鎌倉−室町時代

店の裏路地に置いてある五輪塔群です。いちばん大きな五輪塔は国東半島の宝塔形五輪塔、小さな一石五輪塔は京都滋賀近郊の中世五輪塔で、このような小形五輪塔は化野(あだしの)の念仏寺にも多く集められています。中世の石仏や五輪塔群は日本各地にあると思うのですが、滋賀・奈良・和歌山・京都周辺と鎌倉一帯、国東半島は他を圧して多いように感じます。私の郷里新潟の出湯(でゆ)と呼ばれる地域で、昭和のはじめ、山道を開墾した際に多数の石仏とバラバラになった五輪塔が掘り出されました。花崗岩の中世石造群で、それらは出湯仏・出湯五輪塔と呼ばれ近在の有志のもとで、以降大切に保存されてきました。日本各地に出湯の様な埋もれた中世石造群があった可能性は高いでしょう。興味をもたれる方はお住まいの地の歴史や遺物を訪ねてみてください。余談ですが、栗八裏路地の五輪塔群は「ここにはまだ古い江戸の面影が残されています」と六本木ウォーキングツアーのガイドさんが案内していたそうです。何だか申し訳ないような……です(汗)。

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