『工芸青花』9号刊行記念として、「サンプラー:少女の刺繡布」展を開催します。サンプラーとはおもに17世紀から19世紀に欧州各国でつくられた刺繡布で、少女が練習用に縫ったものです。文様はアルファベットや花鳥などさまざまですが、今回紹介するのはオランダに多いダーニング・サンプラー。衣服の穴を繕うための刺繡で、(結果的な)幾何学文様と(褪せた)色糸があいまって、ひかえめな美が好ましいものです。30枚ほど展示販売します。




会期|2月22・23・24・25日(木金土日)
   3月1・2・3・4日(木金土日)
   3月8・9・10・11日(木金土日)
時間|13-19時
会場|工芸青花
   東京都新宿区横寺町31-13 一水寮101(神楽坂)
監修|金沢百枝(美術史家)


講座|金沢百枝|西洋の刺繡の歴史とサンプラー
日時|2月22日(木)19−21時
会場|一水寮悠庵
   東京都新宿区横寺町31-13(神楽坂)
定員|30名
会費|3500円
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=211








サンプラーのこと  金沢百枝


(前略)刺繡の初心者である少女(8歳から15歳くらい)が技法や意匠をまなぶために縫ったのがサンプラー。古いものでは1598年のイギリスの布(ヴィクトリア&アルバート美術館蔵)や、近年発見された1572年のオランダの布が知られています。16世紀後半は、トマス・モアやエラスムスなど人文主義者の提唱による女子教育の黎明期で、サンプラーのはじまりもそのころのことなのでしょう。ヨーロッパ各地および移民の多いメキシコ、北米の作例もあります。英米では聖歌や詩篇の言葉、イタリアでは十字架や聖杯といったキリスト教主題が多いなど、図柄に地域差もみられます。スペインでは黒一色、スイスとスウェーデンは白一色など、色づかいのちがいもあります。

図柄により、いくつかのジャンルにわかれます。人物、動物、花などを絵画的に構成したもの(スポット・サンプラー)、アルファベットを縫いつけたもの(アルファベテール)、袖口や裾の縁飾りをあつめたもの(バンド・サンプラー)、そして今回紹介するダーニング・サンプラー(darning sampler)です。

ダーニング・サンプラーはオランダに多い図柄です(オランダ語ではストップラップStoplap)。布にあいた穴をめだたないようにつくろうために、布の織目を刺繡で模したものです。じっさいにつくろうときは地の布とおなじ色の糸をつかうのですが、サンプラーは練習なので、運針がよくわかるように白布に色糸をもちいています。ほかのサンプラーにくらべて作業がこまかく、根気もいるので、刺繡の授業でも最後に教わる、いわば卒業制作だったようです。(後略/『工芸青花』9号より)






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