会期|2022年11月25日(金)-29日(火)
   *11月25日は青花会員と御同伴者1名のみ
時間|13-20時
会場|工芸青花
   東京都新宿区横寺町31-13 一水寮(神楽坂)
監修|井出幸亮(編集者)


講座|工芸と私64|井出幸亮|工芸とメディア
日時|11月25日(金)18時半−20時半
会場|一水寮悠庵
   東京都新宿区横寺町31-13 (神楽坂)
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井出幸亮 IDE Kosuke
1975年大阪府生れ。古今東西のアーツ&クラフツを扱う雑誌『Subsequence』(cubism inc.)編集長。雑誌『POPEYE』『BRUTUS』(ともにマガジンハウス)ほか、さまざまな媒体で編集・執筆活動中。主な編集仕事に『ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと』(新潮社)、『ズームイン! 服』(坂口恭平著/マガジンハウス)、『細野観光 1969-2019 細野晴臣デビュー50周年記念展オフィシャルカタログ』(朝日新聞社)など。『「生活工芸」の時代』『工芸批評』(ともに新潮社)などで工芸文化についての論考を執筆している。


今展によせて   井出幸亮


『漢聲(ハンシェン)』は中国・北京と台湾を拠点に編集・出版され、創刊から50年以上も同じ編集長の手により刊行され続けている、世界の雑誌界における“生ける伝説”とも言うべき媒体です。
 その前身は、1971年に編集長兼アートディレクターの黄永松(ホワン・ユンスン)と呉美雲(ウー・メイユン)が台湾で創刊した、中国の伝統文化を英語で紹介する雑誌『ECHO of Things Chinese』。その後、’78年には中国語による『漢聲』が創刊されました(2003年より編集部を北京に移転)。
 同誌が取り上げるのは、染織や陶芸などの工芸をはじめ、建築、料理、祭事、また切り絵や紐結び、凧まで、中国の民衆が古くから生活の中で育み続けてきた芸術文化の数々。これらを「1冊1テーマ」で取り上げ、徹底した取材と鋭い切り口の編集によってまとめ、これまで130冊以上もの雑誌を送り出してきました。その背後には、文化大革命、そして近代化の中でこうした古来の文化が失われていく中で技術や知恵を広く伝え、後世に残していくという志があります。
 特筆すべきは、黄永松自身による美しいエディトリアルデザイン。毎号、テーマごとに判型や用紙などの装幀が変わるほか、組版やグラフィックにも随所に工夫が凝らされており、その大胆かつ鮮烈なデザインには世界中にファンがいるほど。2007年にはドイツ・ライプツィヒで行われる世界的な造本装丁コンクール「最も美しい本アワード(Best Book Design from all over the World)」で特別賞を受賞しています。
 今回は、その『漢聲』の貴重なバックナンバーの紹介とともに、日本で同じく’70年代から中国の藍染布「藍印花布」を始めとした工芸を支援し、紹介し続けてきた故・久保マサの意思を受け継ぎ活動する「藍印花布わたなべ」の協力により、染織や生活雑貨など中国の工芸品(’70〜80年代のものを中心に)を展示・販売します。
 中国、そして日本で、海を超えて民衆の工芸文化を長きにわたり見つめ、支え続けてきた人々。彼らの思いが伝わる展覧会になればと思います。







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