20181229

仕事がなかなかおさまらず、いまむきあっている(PCで)ナポリの聖堂壁画より。『工芸青花』11号では美術史家・金沢百枝さんによる中世タイル紀行もあります。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=4





20181227

2020年に「日本博」(以下概要)。また「工芸と自然」、まだ「美術工芸」……。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/nihonhaku/dai1/gijisidai.pdf
……
委員のみなさんに高木崇雄さんのブログを通読してほしい。
https://www.kogei-seika.jp/blog/takaki/001.html





20181223

駒場で「日本民藝館展ー新作工藝公募展」(最終日)のあと、渋谷ヒカリエ d47 museum で「47都道府県の健やかなデザイン展」(3月4日まで)。つづけてみたせいか姉妹展のようにみてしまう。後者にはOKIのアイヌ音楽(北海道)から花ブロック(沖縄)まで各都道府県の47の品々。柳の「民芸」は「かつて考えられたこと」、ナガオカさんの「ロングライフデザイン」は「いま考えるべきこと」。かりに考えが近くても(時代にたいする批評意識など)、えらばれるものは近くならない(なるはずがない)ことがよくわかります。生活道具のおもしろさですね。
http://www.hikarie8.com/d47museum/2018/11/long-life-design-1-47.shtml





20181220

■展覧会|生活工芸の作家たち2:ふぞろい
□1月31日−2月3日+7−10日@工芸青花(神楽坂)
*1月31日−2月2日は展示のみ(販売なし)
*2月3日は青花会員と御同伴者のみ
□出品|安藤雅信/辻和美/三谷龍二
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20190101.html
……
2018年1月につづき、2019年も「生活工芸」展をおこないます。前回のテーマは「ふつう」でした。今回は「ふぞろい」。前回の辻和美さんの出品作「duralex picardie reproduction」(写真)をみて考えたことでした。大量生産の工業製品を手工芸で写すこと。つまり普遍(ふつう)でありつつ特殊(ふぞろい)でもあること。それが「生活工芸」の作家たちが今世紀初頭におこなったことでした。それは、その自覚的な不合理性において、手工芸の「歴史の終り」をつげるものではなかったかと、このごろ思うようになりました。(菅野)





20181218

熊本のあと広島へ。画家 nakaban さんと来年おこなう「ロマネスク/ゾディアック」展の打合せ。話しこんでしまう。そのあとふたりで太田川そばの書店「READAN DEAT」へ。『工芸青花』をいつも美しく配置してくれています。23日まで成田周平展(土器的陶器)開催中。
http://readan-deat.com





20181216

昨日は熊本市現代美術館で村上隆さんによる「バブルラップ──「もの派」があって、その後のアートムーブメントはいきなり「スーパーフラット」になっちゃうのだが、その間、つまりバブルの頃って、まだネーミングされてなくて、其処を「バブルラップ」って呼称するといろいろしっくりくると思います。特に陶芸の世界も合体するとわかりやすいので、その辺を村上隆のコレクションを展示したりして考察します。」展の初日でした(3月3日まで)。村上さんのトークもあり、とても多くの人がきていました。
https://www.camk.jp/exhibition/bubblewrap/
……
作品、構成、磯見俊裕さんによる会場美術もみごたえがありました。最初の部屋に村上さんの文章があり、「もの派」以降の美術シーンを〈バブル経済と西武セゾングループ/Superflat/生活工芸/坂田の清貧の美〉と解説されています。最後の部屋は museum as it is(坂田和實さんの個人美術館。中村好文設計)的空間に、「古道具坂田」の再現、生活工芸派の安藤雅信作品、そして「もの派」の絵画と彫刻が展示されており、今展の「こたえ」のようです。〈もの派の頃、貧しい芸術のアルテポーヴェラから端を発して、バブって、はじけて、貧しくなって、ぐるっとひと回りして、清貧に行き着いた〉。トークでも、作例とともに、日本の美はどこを切っても(一見そうはみえなくても)「貧の美」だ、という示唆的な(『逝きし世の面影』の記述を想起させる、つまり他者的、相対的視点による)指摘がありました。
……
「古道具坂田と生活工芸」についていまもっともふかく理解している人のひとりである村上さんは、今展でも(以前から)それらと柳/民藝とのちがいを強調しています(それをきいて、2005年に『芸術新潮』で坂田さんと民藝館特集をつくったときの「緊張感」を思いだしました)。そのことはあらためて記事等で考えたいと思います。
……
熊本市現代美術館から歩いてすぐのところにある長崎書店では、創刊時から『工芸青花』をおいていただいています。昨日ひさしぶりにうかがうことができました。坂田さんの『ひとりよがりのものさし』のとなりにあって、ありがたいことでした。(菅野)













20181215

あらたな催事のお知らせです。
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■講座|河島思朗|ギリシア・ローマ神話38|ヘラクレス|12の難行その1
□1月10日(木)18時半@一水寮悠庵(神楽坂)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=260
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■講座|金沢百枝|ロマネスクへの旅|イギリス篇
□1月23日(水)18時半@自由学園明日館ホール(目白)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=261
*2019年3月におこなうツアー「美術史家・金沢百枝さんとゆくイギリス・ロマネスクの旅」(3月12-18日)の説明会もかねています
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■展覧会|生活工芸の作家たち2:ふぞろい
□1月31日−2月3日+7−10日@工芸青花(神楽坂)
*1月31日−2月2日は展示のみ(販売なし)。2月3日は青花会員と御同伴者のみ
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20190101.html
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以下も引続き開催、募集しています。
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■講座|金沢百枝|キリスト教美術をたのしむ43|ロマネスクのクリスマス
□12月20日(木)18時半@自由学園明日館ホール(目白)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=259
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■工芸青花フェア|百思百布
□11月26日−12月25日@代官山蔦屋書店1号館(代官山)
http://real.tsite.jp/daikanyama/event/2018/12/post-763.html





20181212

今週土曜(15日)から熊本市現代美術館で、村上隆さんによる「バブルラップ」展がはじまります(来年3月3日まで)。サブタイトルは〈「もの派」があって、その後のアートムーブメントはいきなり「スーパーフラット」になっちゃうのだが、その間、つまりバブルの頃って、まだネーミングされてなくて、其処を「バブルラップ」って呼称するといろいろしっくりくると思います。特に陶芸の世界も合体するとわかりやすいので、その辺を村上隆のコレクションを展示したりして考察します。〉
……
作り手ばかりの出品作家リストに「古道具坂田」とあるのが(個人的にも)痛快ですが、展示にも「坂田的」大仕掛けがあるとききました。かならずゆきます。
https://www.camk.jp/exhibition/bubblewrap/
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今展は2017年8月に村上さんが自身の Kaikai Kiki Gallery(麻布) でおこなった「陶芸←→現代美術の関係性ってどうなってんだろう? 現代美術の系譜に陶芸の文脈も入れ込んで」展の続篇/拡大版の様相です。東京展にさいしては『工芸青花』9号で、ライターの井出幸亮さんにながい展評を執筆していただきました(以下はその記事「村上隆と坂田和實 Takashi Murakami and Kazumi Sakata, the World Top Contemporary Artist and an Infulencer in Japan」より)。
……
〈こういった八〇年代の日本社会をある部分で体現した日比野と、「生活工芸」および坂田を対置させることで見えてくるものとは何だろう。そのキーワードは意外にも、ここでも「バスキア」であるように思える〉
〈この村上氏の指摘はまったく鋭い。まさしく七〇年代半ばー八〇年代初頭という同時代に勃興したヒップホップ・カルチャーーDJ、ラップ、ブレイクダンス、グラフィティーと、坂田の持つアティテュードを、体制に対する「下からのカウンター」 という点において同一に評価するという視点はこれまで誰も持ち得なかった、慧眼と言って良いものだろう〉
〈こうした見立てを押し進めていけば、「近代日本において本来的な意味でバスキアに近かったのは日比野ではなく、坂田だったのではないか」などという命題までもが成り立つかもしれない〉
〈こうした思想を抱えた工芸家たちは、自ら生み出す作品をあくまで生活道具として捉えており、その範疇と考えられる価格に留めることを旨としてきた。 そんな彼らの活動自体が、野放図な消費活動に明け暮れた八〇年代のバブル経済への批評であったと考える視点は的確である。そしてその精神的バックボーンとなった坂田こそ、柳宗悦には原理的に不可能であった「下からのカウンター」を成し遂げんとする人物であり、「『民藝』の先をゆく、真の敗戦後の美の基準を作ろうとした人」だという村上氏の評価にもまったく首肯させられる〉
〈村上氏が本展を含む展覧会や各所での発言を通じて、上記のような坂田の評価や位置づけについて繰り返し言及してきたのは、こうした認識が現代日本の美術(または美に関わる)業界に圧倒的に欠けており、そのことがそれらの業界の停滞、ひいては衰退につながると考えているからだろう〉
……
この読みごたえあるエッセイをおさめた『工芸青花』9号(写真)も以下で販売中です。熊本展とともにぜひ。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=220





20181210

工芸史家・高木崇雄さんのブログ「工芸入門」更新しました。〈同じ模様のお皿は他にありますか? と尋ねられても、うちは八百屋みたいな工芸店なので、同じものって揃えられないんです。30センチの大根5本ください、って仰られても無理なんですよ、旬の仕事、一番新鮮な大根5本なら揃えられるかもしれませんが……、などと言ってしまいます。本当に申し訳ない〉(「かりぐらし」)
https://www.kogei-seika.jp/blog/takaki/023.html





20181209

一昨日は工芸史家・高木崇雄さんと硝子作家・石川昌浩さんの対談「公募展と民藝」でした(於神楽坂一水寮)。みなさんありがとうございました。考えたことは、内輪でつちかわれた(でしかつちかわれない)感覚のゆたかさ/複雑さを、どのように、なんのために、外部化する(神秘化せず、内輪外の他者が接続できるかたちにととのえる/変形する)のかということでした。
……
展示や講座をおこなうこと、記事や本をつくることも外部化の作業でありたいと思っています(他者には国外、後代もふくまれ、多寡にかかわらず、それが大きな希望でもあります)。高木さんにお願いしているブログ「工芸入門」(以下)や、美術史家の金沢百枝さんにお願いしているロマネスク講座(以下。次回は12月20日です。写真はイギリスの聖堂)も、内輪的感性の外部化/社会化なのです。
https://www.kogei-seika.jp/blog/takaki/022.html
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=259





20181206

「白と青」展、今日から再開します(神楽坂一水寮。9日まで。13−19時)。森岡書店の森岡督行さんによる「森岡服店」。ウェブサイトに、えらんだ11ブランドによせた森岡さんの文章を追加しています。実感のこもったすてきな言葉です。
……
〈生地が丈夫なのも嬉しく、どんどん洗っても型くずれしません〉〈経年優化の感があります〉〈雨の日をむしろ楽しくしてくれます〉〈売りが先行しがちな現場において帽子さんは誠実でした〉〈からだの一部のように愛用しています〉〈ゆったりしているのに線の細さが感じられる着心地〉〈襟の部分のかたち、二重ガーゼのやわらかな生地のテクスチャー〉〈どんな風にデニムが育つのか触れにきてください〉〈デニムの生地が薄いので、夏も履きやすいです〉〈もしすり切れたりしても補強しながらずっと使っていきたいです〉〈ヨーガン・レールさんの考え方を思い出すときがあります〉
……
今日は夕方から森岡さんも在廊予定です。
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20181101.html





20181204

打合せで関西へ。すこし足をのばして民博へ。「アーミッシュ・キルト」展(12月25日まで)。となりの大阪民芸館では「民藝のバスケタリー(籠笊箕)」展(16日まで)。民博の常設にもさまざまな籠がでていて、でも民芸館とはみえかたがちがう。民芸の(もちろん悪意なき)操作によって創出される感情はたしかにあって、そのことをあらためて(「インスタ映え」の時代に)考えたいと思いました。
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/
http://www.mingeikan-osaka.or.jp/2018/08/10/











20181202

今週金曜(7日)夜は高木崇雄さん(工藝風向)と石川昌浩さん(ガラス作家)の対談「工芸入門6|公募展と民藝」です(神楽坂一水寮)。
……
〈近代以降、工芸の歴史は公募展の歴史と共にありました。それは常に、誰が・どのような基準で選ぶか、という選択と排除の問題にも結びついています。文展・帝展・日展と時代を経て今も続く官制公募展、国展などの民間公募展、いずれにせよそこから逃れられた公募展はありません。無審査の会であったとしても、それもまた一つの政治的態度です。このような状況のなか、「ケインズ的美人投票」と「柳的直観」のはざまにあって、民藝館展はどのような立場を取ってきたのか、また、その経緯でどんな出来事が、なぜ起きたのか、などについて軽く振り返ってみようと思います〉(高木さんから)
……
駒場では9日から民藝館展です。お待ちしております。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=258




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