20240131

『工芸青花』の記事や講座、ツアーなど、青花ではおなじみの美術史家・金沢百枝さんの約8年ぶりの新刊(単著)が本日発売されました。

■金沢百枝『キリスト教美術をたのしむ─旧約聖書篇』
https://www.shinchosha.co.jp/book/355411/

〈天地創造、アダムとエバ、ノアの箱舟やバベルの塔は、古来どのように描かれてきたのか──。キリスト教美術の黎明期、中世ヨーロッパの壁画・彫刻・写本などを中心に、表現がパターン化する以前の、早春のようにあかるくのびやかな図像の数々をご紹介。ユダヤ教、イスラーム教の作例も織り交ぜ、図版300点以上掲載〉

青花でも刊行記念の講座をおこなうのですが、すでに満席(後日配信予定です)。

■講座|本と私2|金沢百枝|旧約聖書の美術表現:中世と近世
□2月15日(木)18時@工芸青花(神楽坂)
https://store.kogei-seika.jp/products/lecture-book-2

よろしければ、配信中の金沢さん講座もおたのしみください。

■通信講座|金沢百枝|キリスト教美術をたのしむ34|降誕図の動物とヨセフ
https://store.kogei-seika.jp/products/lecture-kanazawa-e34







20240130

公開しました。好評だった連続講座の通信版です。

通信講座|金沢百枝+小澤実|研究者にきく1|ロマネスク再考|全3回
https://store.kogei-seika.jp/products/lecture-researcher-e1

1|高山博(歴史)|異文化交流空間としての中世シチリア
2|塚本麿充(美術)|宋代美術─宮廷と民間の活力
3|吉川文(音楽)|10−12世紀の音楽

美術史家の金沢百枝さんと歴史家の小澤実さんを案内役に、分野をとわず実績のある研究者を毎回ひとりずつまねき、研究の最前線をわかりやすく話していただこうというシリーズです。学問の素晴らしさ、そしてそれを味わい続ける学者という仕事の魅力についても、直接知ることができればと思います。



20240128

これから5ヶ月つづく連続講座の初回でした(於自由学園明日館)。教室のすみにおかれていた、創立当初(ということは約100年まえ)の子供用の椅子と机。子どもの椅子の名手でもある中村さんが、子供椅子の魅力について語る話もありました。

講座|中村好文|家具デザイン|全5回
https://store.kogei-seika.jp/products/lecture-nakamura-1





20240127

はじまりました。新作(写真1)、古作(同2)ともにみごたえあります(写真は昨日)。昨夜は出品者ふたりの対談でした。「山茶碗」について、美術史的見地と実作者的知見が相乗する、理想的な講座でした。古代の土器と山茶碗の相違における「骨格」の有無の話や、倣古すなわち「写し」で写すべきものはなにか、の話など。清水さん、木村さんともに本日(27日)在廊予定です。ぜひおたずねください。

■展覧会|山茶碗
□1月26−30日|13−20時|工芸青花(神楽坂)
□出品|清水喜守(古美術28)/木村達哉(陶芸家)
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20240101.html







20240124

今週末から。ひとつずつ個性的な山茶碗の古作60点、新作80点余がつどう展観になりました(会場がひろくないのがやや惜しいです)。

■展覧会|山茶碗
□1月26−30日|13−20時|工芸青花(神楽坂)
*1月26日は青花会員と御同伴者1名
□出品|清水喜守(古美術28)/木村達哉(陶芸家)
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20240101.html

■講座|木村達哉+清水喜守|山茶碗の魅力
□1月26日(金)18時@一水寮悠庵(神楽坂)
https://store.kogei-seika.jp/products/lecture-kogei-73

清水さんから|
木村達哉さんとの出会いは自分の中で眠りつつあった山茶碗への情熱を復活させてくれました。古きに学ぶという姿勢は陶芸の世界では珍しくありません。しかし倣古でこの世界に爪痕を残すのは容易ではなく、消化しきれない古き良さを持て余す様をしばしば目にします。
 平安時代の山茶碗と木村達哉作の山茶碗を並べた時に不思議と違和感が無いのです。それどころか調和すら感じるのは彼が純粋な好奇心から山茶碗のバックボーンを理解し、それを現代陶という形で表現できているからでしょう。山茶碗の魅力を理解する鍵は彼の眼に見えているそのバックボーンにあるのではないでしょうか。
 今回は彼の山茶碗と私が選んだ12~13世紀の山茶碗を同じ空間に並べます。久しぶりに山茶碗と向き合いますので魅力のある品々を全力で集めました。時代を超えた山茶碗達の化学反応を楽しんでいただけたらと思います。

木村さんから|
はじめて山茶碗を見たときは、あまりにもなんともない器でその良さに気づけませんでした。ただ、土と人の関係のバランスの気持ちのいいところを焼き物で探る中で、自然と山茶碗に惹かれていきました。
 量産雑器。それぞれの産地の土という原料を用いて、量産ゆえに最低限の人の作為で作られたであろう器。だからこその絶妙なバランス。その中でも地域によって、時代によって、土や作り手によって形が変わってくる山茶碗。同じ寸法で作られたプロダクトでありながら一つ一つに特徴があり、無釉(釉薬がかかっていない)ゆえに当時の人の手跡もハッキリと残る。山茶碗という器はまだまだわからないことが多いですが、いろんなヒントを与えてくれているように思います。
 今作る山茶碗とは? “使う”という面において、自然釉がしっかりかかった天場というものが山茶碗の中では良しとされているように思います。自分は日本各地で見つけた土や石を使用し、粒子を調整したり焼きを変えたりし、焼き締まりの良い、使える山茶碗として今に昇華できたらと思っています。
 そんな大好きな山茶碗を古美術28の清水喜守さんと展示できる事を大変光栄に思います。当時の山茶碗と僕が解釈した山茶碗が並ぶのは恐ろしさすら感じますが、“今”だからこそ、今と昔の山茶碗を通して原料や人、やきものの営みという、器の奥の見えないものにも思いを馳せていただけたら嬉しく思います。

渥美輪花山茶碗 12世紀末 長径16.5m





20240123

今週末から。なぜ山茶碗なのか──新世代のおふたりの対談は、現代工芸を考えるヒントにもなるはずです。

■展覧会|山茶碗
□1月26−30日|13−20時|工芸青花(神楽坂)
*1月26日は青花会員と御同伴者1名
□出品|清水喜守(古美術28)/木村達哉(陶芸家)
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20240101.html

■講座|木村達哉+清水喜守|山茶碗の魅力
□1月26日(金)18時@一水寮悠庵(神楽坂)
https://store.kogei-seika.jp/products/lecture-kogei-73

清水さんから|そば猪口と共に長く骨董の入門篇代表の位置に君臨してきた山茶碗。思い返してみれば、私も骨董歴のかなり初期の段階で出会っており、一番長く付き合ってきた古美術の一つです。そのイメージ故に、なのでしょうか。知名度の高さのわりに、深く掘り下げる人が少なかったジャンルでもあります。関連書籍も発掘調査報告や論文のような専門的な物ばかりで、カジュアルな形で特集された事はほとんどありません。山茶碗を多く掲載した『工芸青花』11号はその点画期的なものだったと言えるでしょう。
 山茶碗を追いかけて30年。とある若き陶芸家の熱意のおかげで、もう一歩踏み込んで山茶碗の魅力を見つめる機会が訪れたようです。平安の栄華の輪郭がぼやけはじめた時に現れ、室町文化が開花した頃には消滅した、時代遅れとも思える謎多き無骨な炻器碗。今回は木村達哉さんとその不思議な魅力についてとことん語ろうと思います。

木村さんから|今回、古美術28の清水喜守さんと山茶碗のお話をさせていただきます。山茶碗は量産雑器。だからこそ無駄な要素は削ぎ落とされ、土という素材と、技術や気持ちといった「人間」をバランスよく感じます。そういったところに感動して、学生の頃から常に近くに置いて、見て、触って、作ってきました。とは言っても清水喜守さんと山茶碗についてお話しするのは緊張しそうです……。
 自分は作り手としての目線で山茶碗を見ているため、土という素材、決められた形、成形方法、焼き方などが特に先に情報として入ってきます。そこには多くのどうして? があり、いまだにわからないことも多い山茶碗。しかし、約800年前の器といえど僕らと同じ人間が作った器。清水喜守さんの、これまでたくさん扱われてきた深い知識と、僕の作り手だからこそ感じ取れる感覚が交わることで、シンプルで奥深い山茶碗をもう一度考える機会になればと思います。

自然釉風山茶碗 木村達哉作 2023年 長径16.3cm





20240122

今週末から。出品者おふたりのインスタグラムからも、気迫と充実がつたわってきます。

■展覧会|山茶碗
□1月26−30日|13−20時|工芸青花(神楽坂)
*1月26日は青花会員と御同伴者1名
□出品|清水喜守(古美術28)/木村達哉(陶芸家)
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20240101.html

■講座|木村達哉+清水喜守|山茶碗の魅力
□1月26日(金)18時@一水寮悠庵(神楽坂)
https://store.kogei-seika.jp/products/lecture-kogei-73

https://www.instagram.com/exhibitions28/
https://www.instagram.com/_tatsuya_kimura_/

渥美輪花山茶碗(天場) 12世紀末 長径16cm





20240120

デザイナー米山菜津子さんの連載「工芸時評」更新しました。
https://www.kogei-seika.jp/blog/yoneyama/011.html

〈セーターを編んでいた当時の母の年齢を自分はもうすっかり超えているのだが、結局、自分がやっていることはああいうことなのだなあと思う。没頭してつくること。それを誰かに手渡すこと〉





20240118

駒場の民藝館で「鈴木繁男─手と眼の創作」展。濱田、河井、芹沢らにおとらず、民藝を内からささえた作り手として重要なのではないかと思った。

柳宗悦の指示のもと、雑誌『工藝』の表紙絵(漆絵)を1冊ずつすべて手描きで描いたり(しかも月刊)、民藝館開館時には展示什器のすべてをひとりで拭漆塗りした。漆だけでなく、やきものの轆轤も絵付もたくみだった。柳の本の装丁や民藝展のポスター意匠も手がけている。いまもひとめでわかる気がする民藝的なグラフィックは、芹沢銈介だけでなく、むしろ鈴木繁男(1914−2003)が確立、伝承したのではないか。

民藝(柳か)に殉じるような仕事のしかた、生きかたは、いまからすれば合理的ではないだろうが、しかし、そうした非合理性のみが心を打つことがある。晩年の鈴木に愛され、今展の企画担当をひとりでつとめた民藝館の月森俊文さんもまた、昨今いよいよ稀少な非合理の人だと思った。3月20日まで。
https://mingeikan.or.jp/special/ex202401/





20240118

逆光・鈴木学さんの連載「ホノグラ的骨董」更新しました。今回は「続・年画」です。
https://www.kogei-seika.jp/blog/gyakko/008.html

〈年画の起源は、桃の木の板に神像を描き、門口に掛け魔除けとした「桃符」にあると言われています。日本でも古事記のなかに、イザナギがイザナミからの追手を桃の実を投げて撃退する話がありますが……〉

この連載は骨董通販サイト seikanet 関連記事です。
https://kogei-seika.net/





20240104

古美術栗八・高木孝さんの連載「花と器と」更新しました。器は箙(えびら)、随想は「光さんのこと2」です。
https://www.kogei-seika.jp/blog/takagi_hana/044.html

〈「客の注文で買うのは、ダメなもんだなー」と嘆いています。光さんにしてみれば、客の探している唐画が市場に出てきたので、勇んで買い落としてきたのでしょう〉

高木さん監修の骨董通販サイト seikanet も公開中です。
https://kogei-seika.net/





20240116

■展覧会|山茶碗
□1月26−30日|13−20時|工芸青花(神楽坂)
*1月26日は青花会員と御同伴者1名
□出品|清水喜守(古美術28)/木村達哉(陶芸家)
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20240101.html

■講座|木村達哉+清水喜守|山茶碗の魅力
□1月26日(金)18時@一水寮悠庵(神楽坂)
https://store.kogei-seika.jp/products/lecture-kogei-73

山茶碗が好きで、かつて『工芸青花』で特集したことがあります。〈山茶碗とはなにか。やきもの事典等の説明をさらにかいつまんでいうと、「東海地方の中世窯で平安後期(11世紀後半)より生産された日常雑器。穴窯でかさね焼きされた無釉の碗で、口径15糎、高さ5、6糎ほど。生産者は兼業(半農半陶)ではなく専従の小集団か。山茶碗の名は窯址のある山麓で陶片が出土することから。行基焼、藤四郎焼とも」〉(『工芸青花』11号)。おもな窯址(群)に猿投、瀬戸、美濃、常滑、渥美などがあります。  その特集で、自身の蔵品紹介とともに、説得力ある山茶碗論を書いてくれたのが骨董商の清水喜守さんでした(清水さんはロンドン大学で修士号を取得、修士論文のテーマが山茶碗でした)。つまり彼は山茶碗にかんしてプロ中のプロなのですが、その清水さんが期待をよせる現代の山茶碗作家がいます。木村達哉さんです。  今展は、清水さんがあつめた古作の山茶碗と、木村さんによる新作の山茶碗をならべて展示販売します。初日夜には、山茶碗にみせられたふたりの対談も予定しています。

常滑山茶碗(天場) 13世紀前期 長径16cm





20240116

対談について、木村達哉さん(陶芸家)の言葉。

■展覧会|山茶碗
□1月26−30日|13−20時|工芸青花(神楽坂)
*1月26日は青花会員と御同伴者1名
□出品|清水喜守(古美術28)/木村達哉(陶芸家)
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20240101.html

■講座|木村達哉+清水喜守|山茶碗の魅力
□1月26日(金)18時@一水寮悠庵(神楽坂)
https://store.kogei-seika.jp/products/lecture-kogei-73

今回、古美術28の清水喜守さんと山茶碗のお話をさせていただきます。山茶碗は量産雑器。だからこそ無駄な要素は削ぎ落とされ、土という素材と、技術や気持ちといった「人間」をバランスよく感じます。そういったところに感動して、学生の頃から常に近くに置いて、見て、触って、作ってきました。とは言っても清水喜守さんと山茶碗についてお話しするのは緊張しそうです……。
 自分は作り手としての目線で山茶碗を見ているため、土という素材、決められた形、成形方法、焼き方などが特に先に情報として入ってきます。そこには多くのどうして? があり、いまだにわからないことも多い山茶碗。しかし、約800年前の器といえど僕らと同じ人間が作った器。清水喜守さんの、これまでたくさん扱われてきた深い知識と、僕の作り手だからこそ感じ取れる感覚が交わることで、シンプルで奥深い山茶碗をもう一度考える機会になればと思います。

粗土焼締山茶碗 木村達哉作 2022年 長径17cm





20240114

対談もたのしみです。清水喜守さん(古美術28)の言葉です。

■展覧会|山茶碗
□1月26−30日|13−20時|工芸青花(神楽坂)
*1月26日は青花会員と御同伴者1名
□出品|清水喜守(古美術28)/木村達哉(陶芸家)
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20240101.html

■講座|木村達哉+清水喜守|山茶碗の魅力
□1月26日(金)18時@一水寮悠庵(神楽坂)
https://store.kogei-seika.jp/products/lecture-kogei-73

そば猪口と共に長く骨董の入門篇代表の位置に君臨してきた山茶碗。思い返してみれば、私も骨董歴のかなり初期の段階で出会っており、一番長く付き合ってきた古美術の一つです。そのイメージ故に、なのでしょうか。知名度の高さのわりに、深く掘り下げる人が少なかったジャンルでもあります。関連書籍も発掘調査報告や論文のような専門的な物ばかりで、カジュアルな形で特集された事はほとんどありません。山茶碗を多く掲載した『工芸青花』11号はその点画期的なものだったと言えるでしょう。
 山茶碗を追いかけて30年。とある若き陶芸家の熱意のおかげで、もう一歩踏み込んで山茶碗の魅力を見つめる機会が訪れたようです。平安の栄華の輪郭がぼやけはじめた時に現れ、室町文化が開花した頃には消滅した、時代遅れとも思える謎多き無骨な炻器碗。今回は木村達哉さんとその不思議な魅力についてとことん語ろうと思います。

渥美輪花山茶碗(天場) 12世紀末 長径16cm





20240114

対談もたのしみです。清水喜守さん(古美術28)の言葉です。

■展覧会|山茶碗
□1月26−30日|13−20時|工芸青花(神楽坂)
*1月26日は青花会員と御同伴者1名
□出品|清水喜守(古美術28)/木村達哉(陶芸家)
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20240101.html

■講座|木村達哉+清水喜守|山茶碗の魅力
□1月26日(金)18時@一水寮悠庵(神楽坂)
https://store.kogei-seika.jp/products/lecture-kogei-73

そば猪口と共に長く骨董の入門篇代表の位置に君臨してきた山茶碗。思い返してみれば、私も骨董歴のかなり初期の段階で出会っており、一番長く付き合ってきた古美術の一つです。そのイメージ故に、なのでしょうか。知名度の高さのわりに、深く掘り下げる人が少なかったジャンルでもあります。関連書籍も発掘調査報告や論文のような専門的な物ばかりで、カジュアルな形で特集された事はほとんどありません。山茶碗を多く掲載した『工芸青花』11号はその点画期的なものだったと言えるでしょう。
 山茶碗を追いかけて30年。とある若き陶芸家の熱意のおかげで、もう一歩踏み込んで山茶碗の魅力を見つめる機会が訪れたようです。平安の栄華の輪郭がぼやけはじめた時に現れ、室町文化が開花した頃には消滅した、時代遅れとも思える謎多き無骨な炻器碗。今回は木村達哉さんとその不思議な魅力についてとことん語ろうと思います。

渥美輪花山茶碗(天場) 12世紀末 長径16cm





20240113

つづいて、木村達哉さん(陶芸家)の言葉から。

■展覧会|山茶碗
□1月26−30日|13−20時|工芸青花(神楽坂)
*1月26日は青花会員と御同伴者1名
□出品|清水喜守(古美術28)/木村達哉(陶芸家)
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20240101.html

■講座|木村達哉+清水喜守|山茶碗の魅力
□1月26日(金)18時@一水寮悠庵(神楽坂)
https://store.kogei-seika.jp/products/lecture-kogei-73

はじめて山茶碗を見たときは、あまりにもなんともない器でその良さに気づけませんでした。ただ、土と人の関係のバランスの気持ちのいいところを焼き物で探る中で、自然と山茶碗に惹かれていきました。  量産雑器。それぞれの産地の土という原料を用いて、量産ゆえに最低限の人の作為で作られたであろう器。だからこその絶妙なバランス。その中でも地域によって、時代によって、土や作り手によって形が変わってくる山茶碗。同じ寸法で作られたプロダクトでありながら一つ一つに特徴があり、無釉(釉薬がかかっていない)ゆえに当時の人の手跡もハッキリと残る。山茶碗という器はまだまだわからないことが多いですが、いろんなヒントを与えてくれているように思います。
 今作る山茶碗とは? “使う”という面において、自然釉がしっかりかかった天場というものが山茶碗の中では良しとされているように思います。自分は日本各地で見つけた土や石を使用し、粒子を調整したり焼きを変えたりし、焼き締まりの良い、使える山茶碗として今に昇華できたらと思っています。
 そんな大好きな山茶碗を古美術28の清水喜守さんと展示できる事を大変光栄に思います。当時の山茶碗と僕が解釈した山茶碗が並ぶのは恐ろしさすら感じますが、“今”だからこそ、今と昔の山茶碗を通して原料や人、やきものの営みという、器の奥の見えないものにも思いを馳せていただけたら嬉しく思います。

写真は木村達哉作。





20240111

今月末です。「山茶碗」の古作と新作をならべる、おそらく例のない展示です。

■展覧会|山茶碗
□1月26−30日|13−20時|工芸青花(神楽坂)
*1月26日は青花会員と御同伴者1名
□出品|清水喜守(古美術28)/木村達哉(陶芸家)
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20240101.html

■講座|木村達哉+清水喜守|山茶碗の魅力
□1月26日(金)18時@一水寮悠庵(神楽坂)
https://store.kogei-seika.jp/products/lecture-kogei-73

まずは清水さん(古美術28)の言葉から。

木村達哉さんとの出会いは自分の中で眠りつつあった山茶碗への情熱を復活させてくれました。古きに学ぶという姿勢は陶芸の世界では珍しくありません。しかし倣古でこの世界に爪痕を残すのは容易ではなく、消化しきれない古き良さを持て余す様をしばしば目にします。
 平安時代の山茶碗と木村達哉作の山茶碗を並べた時に不思議と違和感が無いのです。それどころか調和すら感じるのは彼が純粋な好奇心から山茶碗のバックボーンを理解し、それを現代陶という形で表現できているからでしょう。山茶碗の魅力を理解する鍵は彼の眼に見えているそのバックボーンにあるのではないでしょうか。
 今回は彼の山茶碗と私が選んだ12−13世紀の山茶碗を同じ空間に並べます。久しぶりに山茶碗と向き合いますので魅力のある品々を全力で集めました。時代を超えた山茶碗達の化学反応を楽しんでいただけたらと思います。

写真は木村さんのアトリエ。





20240108

家で食事をつくるときは、ほぼかならず、輪島の塗師の赤木明登さんの器をつかっている。今日の朝食、夕食もそうだった。編集者としても、赤木さん夫妻には、ずっと世話になってきた。今朝のフェイスブックで、赤木さんが3月にでる新刊のことを書いている。

■赤木明登+堀畑裕之『工藝とは何か』
□2024年3月10日刊|拙考+泰文館
https://www.sekkousm.com/

予約しました。編集の張逸雯さんは、川瀬敏郎『一日一花』、李鳳來『李朝を巡る心』の中国語版を手がけてくれた人。まっています。写真は、黒田泰蔵さんと語る赤木さん夫妻(2018年1月、於黒田邸)。





20240106

以下の講座ですが、受講者確定し、お知らせいたしました。御応募くださった方々に感謝申上げます。

講座|中村好文|家具デザイン|全5回
https://store.kogei-seika.jp/products/lecture-nakamura-1





20240104

年末年始に、ウェブ連載3本を更新しました。

米山菜津子「工芸時評」第10回
https://www.kogei-seika.jp/blog/yoneyama/010.html

高木孝(古美術栗八)「花と器と」第43回
https://www.kogei-seika.jp/blog/takagi_hana/043.html

鈴木学(逆光)「ホノグラ的骨董」第7回
https://www.kogei-seika.jp/blog/gyakko/007.html

seikanet(骨董通販サイト)も更新しました。
https://kogei-seika.net/

『工芸青花』の次号20号の取材もはじめています(写真)。





20240101

新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

2024年最初の展観は、日本の中世陶器を代表する(といいたい)「山茶碗」展です。清水喜守さん(古美術28)のえらぶ古作、木村達哉さん(陶芸家)の新作をあわせて展示販売します。

■展覧会|山茶碗
□1月26−30日|13−20時|工芸青花(神楽坂)
*1月26日は青花会員と御同伴者1名
□出品|清水喜守(古美術28)/木村達哉(陶芸家)
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20240101.html

おふたりの対談もあります。

■講座|木村達哉+清水喜守|山茶碗の魅力
□1月26日(金)18時@一水寮悠庵(神楽坂)
https://store.kogei-seika.jp/products/lecture-kogei-73




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