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40 オリエント黒陶ほか



病いを得て、亡くなる直前まで映画を撮っていた大林宣彦監督を追ったNHKのドキュメンタリー番組を観ました。その中で、野を歩く監督が道端の草を眺め、昔はただの雑草だったけど今は命に見えると語っていました。

私にも思い当たることがあります。前にも書かせていただきましたが、花を切る時、いつも心に微かな痛みを感じています。野草は基本的に根や種で育ちますので、花の数本を切ったとしても、花の命に別段の支障はないのでしょうが、屋上の花を撮影や来客のために切る時には、微かな痛みを感じてしまいます。

それは、命の一部を切っていると云う、過剰かも知れぬ意識からくる痛みなのですが、こう書くと、私を直接に知らぬ方には、いかにも繊細で優しい心の持ち主と思われてしまいそうですが、それは誤解です。

この様な気持ちは、花屋さんで花材(切り花)を買う方には、分かってもらえぬかも知れません。山野にふんだんに茂る草花を切って花材としている方にも希薄かも知れません。毎年プランターの土を取り換え、植え直しを繰り返して30数年育ててきた山野草だからこそ感じてしまう思いなのかも知れません。

11月も末になれば屋上はもうすっかり冬の風情です。ほとんどの草花は枯れ、茎の先に咲き遅れた秋の花がわずかに残っていたりします。これらの枯れた草花は、もう少し寒くなると全て刈り取ってしまい、春先の土の入れ替えに備えますので、撮影のために摘んでも少しの痛みも感じません。花とも呼べぬ枯草や木の実ですが、今の私にとってはいちばん性に合う花材となっています。

■オリエントの黒陶
詳しくはないのですが、紀元前数百年頃のオリエントの古陶と思います。赤味の強い素地(土器)全体に黒色を塗り、よく研磨された美しい艶の肌です。肩に繊細な瓔珞文が線彫りされています。土器ですので水は入れていません。小さな落としを収めれば水も少しは入りますが、枯れきった野花に水はもう不要でしょう。





■李朝の石箱
よく使い込まれて角のとれた李朝の石箱です。莨入れに使われていたと聞いています。石に装飾を施したものや、地紋の入る石材を用いた高級品もあるのですが、なぜかこの様なシンプル素朴な石箱の方が蒐集家には人気があり、私も好きです。いけ方(枯草の選び方)が拙く、悲壮感の様なものが出てしまいました。枯草の軽みを摘む(選ぶ)様になりたいものです。






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