20 ギリシャ古陶皿 紀元前





専門ではなく、詳しい解説は書けないのですが、モダンな同心円の描かれた古代ギリシャ土器で、紀元前の器です。添えたのは屋上のプランターで実ったレモンです。以前であれば、レモンは温暖な海外から輸入されるものとばかり思っていたのですが、近頃は庭で実るのを見かける様になり、栗八の屋上でも実をつけてくれます。うれしいことですが、温暖化の影響とすれば喜んでばかりもいられなくなります。




水丸さんのこと その3


水丸さんの描くキャラクターの線は細く繊細で、インパクトの必要な告知ポスターには不向きです。「もっと太く」と頼むのですが、水丸さんは不承不承で、「小さく描いて拡大したらどうだろう……」「小さく描くのが好きだから……」と、二人で試みたのですが、思ったほど線は太くなりません。「こんな風に……」と私が水丸さん風に描いてみせると、「あ、それで(やりましょう)……」と、ちょっと恥ずかしそうに笑いながら、呑気な返事が返ってきます。

半ば強制的にペンをとらせて描いてもらったクリクリ目の少年は、『ガロ』に時々登場していた、水丸さんの少年期を思わせる主人公です。探偵に扮装したクリクリ目の少年が、渋谷駅から文化会館、109、百貨店本店と、様々な東急施設に貼り出されました。私は大満足でしたが、原田治の賑わいを知ってしまったグループ各社には、もの足りぬ結果だったと思います。次回(第5回)の提案は見送られたようです。

水丸さんとの付き合いはこのイラスト依頼から始まりました。青山にあった水丸さんの事務所の近くへ行く用があれば、ふらりと立ち寄って、しばらく映画や骨董の話をして「じゃ、また」と帰ります。東急エージェンシーを辞めて独立した私に、水丸さんはクリクリ目の栗ちゃん(栗八のキャラクター)をプレゼントしてくれました。その栗ちゃんをスタンプにして長く使っていたのですが、それももうゴムが劣化してボロボロになってしまいました。肝心の、水丸さんからいただいたスタンプの原画は、雑多な荷物のどこかに紛れたのでしよう。行方不明です。

■後日談
「ウォーキング渋谷」のポスターは各店舗に数枚貼られただけの、謂わばスタンプラリーの目印みたいなものですから、シルクスクリーンでわずか数枚のみ刷られたものです。もう現存していないと思っていたのですが、今回、念の為に画像検索をしてみたら、ありました。水丸さんご本人が保管されていたのでしょう。水丸さん亡き後に企画されたポスター展のメイン告知に使われていました。キャプションには「東急電鉄、詳細不明」と書かれていました。





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