20220831

先週金曜におこなった以下の講座は、料理本における革新(有元葉子)と展開(細川亜衣、高山なおみ)という内容でした。90年代末から2000年代のことで、工芸(生活工芸と古道具)の動向と時期も傾向もかさなり、やはり、その変化に眼をつむることは誠実ではないなとあらためて思いました。三浦さん、ありがとうございました。後日、通信講座として配信予定です。

■講座|工芸と私61|三浦哲哉|料理本と生活工芸
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=890

そうした「変化」を、初心の状態でうけとめていた世代の回想的対談が以下です。料理本の話にもなりました。

■通信講座|工芸と私18|沢山遼+米山菜津子|「生活工芸」を考える
□公開|2022年10月23日まで
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=905

沢山さんから……古作の民衆の生活用具に美しくないものはないという柳宗悦の言葉が胸につかえてきた。沖縄の織物のように、それらが美しくあるとして、それは生活の悲惨、労働の悲惨としばしば隣り合うものであっただろうから。物の美は、生活の美と必ずしも一致するものではない。物に美を見ることの暴力性を、民藝運動は排除することができない。だから考えるべきは、美しい物ではなく、美しい生活というものがあるとすればそれは何か、ということではないか。花森安治がつくった『暮しの手帖』は、はじめ『美しい暮しの手帖』という名前で創刊された。それは、民藝運動への批判だったといまでは思える。生活(暮し)とは、水や電気を含む物質的なインフラであり、自然と人間の物質代謝であり、精神の活動そのものであるからだ。そこでは、「物」から「暮し」への方針転換がなされたのである。だとすれば、「生活工芸」とは、その命名からして、民藝(工芸)と暮し(生活)、柳宗悦と花森安治の、その緩衝地帯に位置すると言えないだろうか。

米山さんから……3年前に『工芸批評』の装丁依頼をいただいたとき、この本の佇まいがどうあるべきかすぐには分からなかった。工芸とは何を指すのか。自分が受け手・使い手としてたまたま身近に経験した「生活工芸」の口あたりよく柔らかなイメージと、それ以前の「工芸」のずしりとストイックな印象が繋がらない。が、論者の話を聞き原稿を読んでいくなかで、角度はバラバラながらも全員が現状に何某かの危機感を持っていて、これからを考えるための本であることを知り、その緊張感が本として立ち現れるようにと考えたことがきっかけで1冊に纏まっていった。「工芸」から「生活工芸」が生まれたのもまた当時の危機感があったからだと聞く。3年前の緊張感がこの本を経ていまどうなっているのか、菅野さんに話を聞いてみたい。

以下の関連企画でした。

■展覧会|工芸批評 https://www.kogei-seika.jp/shop/kogei-hihyou-ten.html





20220830

愛知、岐阜で取材でした。みなさんありがとうございました。『工芸青花』と「生活工芸」展/本(今年中国、来年東京。本は来年)の取材でした。写真は最後にたずねた岐阜のカフェフランドル。中村好文さん設計(2001年)、望月通陽さんの染物と金物、安藤雅信さんのカップ、三谷龍二さんの時計、古道具坂田のアフリカ鉄製貨幣など、私にとってはタイムカプセルのような場所でした。またきたいと思います。





20220828

今月は2度目の奈良。『工芸青花』の取材です。内山さん(艸小路)、小松さん(honogra)、ありがとうございました。
https://www.kogei-seika.jp/about/





20220826

nakabanさんの絵を撮影。裏側もきれいでした。

9月末に、nakaban作品の展示を2会場(新宿、神楽坂)でおこないます。2019年作品は新宿で。新作は神楽坂で。ともにテーマはロマネスクです。
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20220801.html





20220825

公開しました。

■通信講座|金沢百枝|キリスト教美術をたのしむ27|新約篇8|たとえ話
□公開|2022年11月27日まで
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=928

金沢さんから……キリストは教えを説くとき、たとえ話をすることが多かったようです。聖書には24のたとえ話が記されていますが、どれも心にのこる物語。子どものころは納得ゆかなかった「放蕩息子」も、教員になってはじめてわかる気がしました。すべてに美術表現があるわけではありませんが、主要なものをみてゆきます。講座はつづきものではありませんので、はじめてのかたも大歓迎。





20220824

昨日は講座「中村好文+増田奏|住宅設計入門|全8回」の最終回でした。講師の中村さん、増田さん、そして受講生のみなさん、8ヶ月の長丁場、ほんとうにおつかれさまでした。

最終回は課題の最終提出日。配置図、プラン、そして模型がずらりとならんださまは、それぞれ紆余曲折があることもあり、よかった、いよいよ着工……と思わず思ってしまうような、終りなのにはじまりのような、祝祭感がありました(全員の投票によるグランプリと、中村賞、増田賞、クラスメイト賞も授与されました。賞品つき)。

来年もまた開講予定です。どんな「家」と出会えるか、毎年たのしみにしています。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=680
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=681





20220823

古美術栗八、高木孝さんの連載「花と器と」更新しました。(花と器と)人の話でもあります。〈幼年期、私の最初の記憶は、目覚めると隣に大きな猫が寝ている光景です。猫の名はチョコ〉。先日終了した「骨董入門」最終回とあわせて読んでいただけると、ある少年と出会ったような気持になります。
https://www.kogei-seika.jp/blog/takagi_hana/002.html

高木さん監修の骨董通販サイト seikanet 公開中です(8月31日まで)。追加出品もありました。
https://kogei-seika.net/





20220821

原点です。

『工芸青花』の次号18号では、「古道具坂田と美術館as it is」特集をつくります。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=4





20220820

花会まえの3日間の撮影が、とても貴重でした。どこにいたのかと思うくらいです。

『工芸青花』の次号18号では、川瀬敏郎さんの昨秋の花会「無窮」(於大徳寺孤篷庵)を特集します。定期購読募集中です。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=4





20220819

荻窪の書店「Title」で、校正者・牟田都子さんの展示をみてきました。牟田さんの本『文にあたる』刊行記念展です(8月23日まで)。牟田さんには『工芸青花』もお世話になっています(最近は講師をお願いすることも多いですが)。すでにいわれていることかもしれませんが、編集者にとって、校正者はゴールキーパーのような人です。
https://www.title-books.com/event/10255

「Title」のロゴと看板は画家nakabanさんの仕事です。この看板、なるほど……という距離感で、さすがです。
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20220801.html





20220818

公開しました。

■通信講座|工芸と私19|毛涯達哉|シベリアの動物たち
□公開|2022年11月20日まで
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=925

毛涯さんから……フィン・ウゴル系民族はウラル語系の言語を話す民族で、かつてウラル山脈からバルト海に至る範囲で生活していました。現在のフィン(フィンランド)人やハンガリー人などもその子孫として挙げられます。狩猟採取を生業としていたフィン・ウゴル人が使用していた青銅製品には様々な動物意匠が施され、キリスト教以前の自然信仰を色濃く反映しています。本講座では、ボルガ川の支流であるカマ川流域に発展した5-12世紀のペルミ様式の動物意匠を中心に、近隣地域における初期鉄器時代から中世の文化をご紹介します。





20220817

来週です。

■講座|工芸と私61|三浦哲哉|料理本と生活工芸
□8月26日(金)18時半@工芸青花(神楽坂)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=890

この本の話にもなるはずです。高橋みどり『私の好きな料理の本』(2012年/新潮社)。「料理本」本の名著ですが、動機は同時代の料理本にたいする高橋さんの(自省もふくめた)違和感でした(高橋みどり+平松洋子「料理の本を読むということ、作るということ」『芸術新潮』2012年11月号)。

つづいて、三浦さんの今朝のツイートから。「パターナリズム(父権主義)の拒否」「パンク精神」「アジアとイタリア」「民藝は×、as it is は◯」……示唆的です。

























20220816

今年もお声がけいただいて、青山ブックセンター「夏の選書フェア」に参加しました。毎年、みなさんの選書とコメントがたのしみです。
https://twitter.com/Aoyama_book/status/1555410787375935489

私は、映画研究者(であり食文化研究者でもある)三浦哲哉さんの『食べたくなる本』(みすず書房)を推薦しました。──〈『工芸青花』17号で村上隆さんと「生活工芸」特集をつくったとき、器がつかわれる場としての「料理本」の大事さにあらためて気づいた。しかしそこまでは考察できなかった。三浦さんの本は「料理本とはなにか」を問う本だ。それでこんど、「料理本と生活工芸」について三浦さんの話をうかがうことになった〉

来週、三浦さんの講座があります。2000年代から10年代前半くらいまでの料理本が体現していた、あの「総合芸術」感はなんだったのか、が知りたいです。

■講座|工芸と私61|三浦哲哉|料理本と生活工芸
□8月26日(金)18時半@工芸青花(神楽坂)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=890

三浦さんから……料理本の中でさまざまに描かれてきた「食生活」の魅力的なイメージを取り上げながら、「生活工芸」とのつながりについて、菅野さんと一緒に考えてみたいと思っています。
 私は料理をめぐる書物に惹かれ、これまでずっと愛読してきました。その経験をまとめたのが『食べたくなる本』(みすず書房、2019)です。近代以後の日本には、「おいしいもの」や「すてきな生活」をめぐるさまざまな価値の林立する、とてもダイナミックな(ときに軽佻浮薄な)状況がありました。これらを振り返り、相対化してみることは(「おいしい」には何種類あるのでしょうか?)、とても興味深いことだと思います。
『工芸青花』の最新号では、「生活工芸」を訪ねる旅の途中で、料理本の(とりわけ女性の)著述家たちこそがこの潮流の鍵を握っているのではないかという、とても刺激的な問いかけがなされていて、私もはっとさせられました。
 あらためて浮上した2000年代以降の料理本の重要性を、高橋みどり、高山なおみ、有元葉子等々の具体例を取り上げながら振り返ってみたいと思います。彼女たちが提示した「生活像」の魅力は何だったのか。風味のアレンジ、スタイリング、器、キッチンの関係はどのように思い描かれたのか。







20220815

連載「骨董入門」を好評のうちに終えた古美術栗八の高木孝さん。つづいて、新連載「花と器と」がはじまりました(毎週更新)。テーマは高木さんがあつめた古器と、そこにいけた高木さんの花(ときどき、「忘れえぬ人々」の随想も入ります)。
https://www.kogei-seika.jp/blog/takagi_hana/001.html

じつは3年ほどまえから撮影をつづけているのですが、高木さんがいける花は、すべて六本木にある店の屋上で育ったもの(写真。奥に六本木交差点そばの「ドン・キホーテ」、右奥に六本木ヒルズもみえます)。季節のない街にも四季はめぐり、骨董商が敬する骨董商、栗八さんの来し方の記でもあります。よい連載になると思います。

高木さんが監修をつとめる骨董通販サイト「seikanet」も本日19時公開です。特集は「秋の骨董、豊穣と枯味」。よろしくお願いします。
https://kogei-seika.net/





20220814

公開しました。

■通信講座|金沢百枝|キリスト教美術をたのしむ26|「バイユーのタピスリー」とイソップ物語
□公開|2022年11月13日まで
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=922

金沢さんから……昨年10月に、ロマネスク刺繍の優品「バイユーのタピスリー」の表現の魅力についてお話しましたが、最後のほう、周縁部の動物図像の解説が駆け足になってしまったので、あらためて、「バイユーのタピスリー」中の『イソップ物語』に着目し、ロマネスク美術の動物たちについて考えたいと思います。





20220813

『工芸青花』の次号18号の編集作業をすすめています。やや夏バテ気味ですが……。

特集のひとつは、オランダ、ボイマンス美術館の西洋工芸コレクション。筆者の金沢百枝さんとデータベースにあたり、えらび、新撮しました。写真はデルフト出土、小鳥の水入れ(17−18世紀)。

18号の特集はほかに、川瀬敏郎の花会(大徳寺孤篷庵)、古道具坂田と美術館 as it is、杉謙太郎の花会です。定期購読募集しています。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=4





20220812

「沖縄の美」展をみたあと、そのまま駒場の民藝館で打合せでした。沖縄展は染織品はもちろんのこと、漆工もみごたえがありました(8月21日まで)。なんのかげんか、反射光で赤っぽく染まる展示棚。





20220810

福岡、京都、奈良で打合せでした。みなさんありがとうございました。みあげるたびに、建築の力を体感できる東大寺南大門。色も美しい。





20220810

明後日の夜。この絵にどんな意味があるのか……金沢さんの解説がたのしみです。

■講座|金沢百枝|キリスト教美術をたのしむ80|新約篇8|たとえ話
□8月12日(金)18時半@自由学園明日館(目白)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=888

金沢さんから……キリストは教えを説くとき、たとえ話をすることが多かったようです。聖書には24のたとえ話が記されていますが、どれも心にのこる物語。子どものころは納得ゆかなかった「放蕩息子」も、教員になってはじめてわかる気がしました。すべてに美術表現があるわけではありませんが、主要なものをみてゆきます。講座はつづきものではありませんので、はじめてのかたも大歓迎。





20220808

以下の出品者による「工芸批評2022」展、ウェブサイトでも展開しています。
https://www.kogei-seika.jp/shop/kogei-hihyou-ten.html

井出幸亮(『Subsequence』編集長)
鞍田崇(哲学者)
沢山遼(美術批評家)
菅野康晴(『工芸青花』編集長)
広瀬一郎(「桃居」店主)
三谷龍二(木工家)
米山菜津子(デザイナー)

写真は井出さん推薦、ギエルモ・クエラー作のジャグ(アメリカ)。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=893

井出さんから……「”工芸”とは何か」と改めて考えると難しくて困ってしまうのですが、僕はとりあえず「人間が作り出したもの、中でもより人間の身体に近いもの」というくらいに、ざっくり広く捉えて使っています。人が手で作り出すものには、必ず文化的な背景があり、そこには歴史があります。時間を経て伝播と混淆を止めどなく繰り返す文化が、個人のユニークな身体、そして感性と切り結ぶようにしてものが生まれる、そのダイナミズムに惹かれています。

11月末に、井出さん監修の展示を青花の展示室でおこなう予定です。





20220806

以下の出品者による「工芸批評2022」展、ウェブサイトでも展開しています。
https://www.kogei-seika.jp/shop/kogei-hihyou-ten.html

井出幸亮(『Subsequence』編集長)
鞍田崇(哲学者)
沢山遼(美術批評家)
菅野康晴(『工芸青花』編集長)
広瀬一郎(「桃居」店主)
三谷龍二(木工家)
米山菜津子(デザイナー)

会期中におこなった沢山さんと米山さんの対談も、通信講座として公開中です。

■通信講座|沢山遼+米山菜津子|「生活工芸」を考える
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=905

写真は米山さん推薦のモビール。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=921





20220805

今年5月におこなった「工芸批評2022」展、ウェブサイトでも展開しています(販売有)。世代も職種もまちまちな以下の7人による選品、文章、談話と、80年代生れのふたりの対談(通信講座)。考えのちがいを確認しながらまえにすすむ、という感じです。
https://www.kogei-seika.jp/shop/kogei-hihyou-ten.html

井出幸亮(『Subsequence』編集長)
鞍田崇(哲学者)
沢山遼(美術批評家)
菅野康晴(『工芸青花』編集長)
広瀬一郎(「桃居」店主)
三谷龍二(木工家)
米山菜津子(デザイナー)

写真は広瀬さん推薦の内田鋼一作品。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=910





20220803

「骨董と歴史:シベリアの動物たち」展は昨日が最終日でした。この暑さのなかいらしてくださったみなさんにお礼申上げます。そして、今年も、二番煎じにならないテーマに挑戦してくれた出品者の毛涯達哉さん(神ひとケモノ)に感謝したいと思います。
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20220701.html

昨日まで金沢でした。今冬と来秋、中国と東京を巡回する生活工芸展(および本)の取材でした。物とともに、作家たちの言葉にひきこまれる旅です。







20220803

日曜は、ヒルサイドプラザで「暗闇に手をひらく」をみました。阿部海太郎さんの楽器演奏、大崎清夏さんの自作詩朗読、nakabanさんの即興絵画が一体となったライブでした。一流の人たちの、しかも親密な共演がもたらすもの、にひきこまれました。

nakabanさんには、9月末に青花で個展をお願いしています。







20220801

古美術栗八・高木孝さんのブログ「骨董入門」更新しました。今回が最終回。栗八さんの郷里新潟における骨董揺籃期の話であり、同郷の文人・会津八一の書の話でもあります。本日8月1日は八一の生れた日。そんな日にこの記事を公開できるのも、なにごとか縁を感じています。

https://www.kogei-seika.jp/blog/takagi/035.html










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